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被災者雇用支援:雇用助成金・休業でも支給へ/自治体、一時直接雇用促進

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復興へ見込まれる金額はすべて計上!第1次補正予算3兆円
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政府は4月5日、東日本大震災の復興策の第1弾となる第1次補正予算案をまとめ、連休前に国会へ提出と報道がありました。復興策の方針は、「救助・復旧について現時点で見込まれる額をすべて計上する」と掲げ、道路などの交通インフラや、下水などのライフライン、学校、福祉施設などの復旧のほか、被災者の雇用支援や災害復旧などの融資、自衛隊の活動費も盛り込まれ、予算は阪神大震災の3倍の約3兆円。民主党マニフェストのこども手当や高速道路無料化などを見直し、臨時財源の余剰金を予算に充て野党の反発が予測される国債の発行はしないとしています。

災害に与党便乗?「日本はひとつ」/谷垣総裁「野党は野党でやっていく」
報道では、「日本はひとつ」、「大連立」と報じられるなか、自民党谷垣総裁は、「野党は野党でやっていく」とのことです。お互いが被災者を第一に考え、より最善な政策を打ち出せないのかと感じます。昼間の避難所は、人が少なく、被災した勤務先の掃除や、会社が流されてしまった従業員がハローワークなどに相談に出かけると報じていました。被災地では、被災者が復興に向け政策を打ち出す前から、すでに動き出しているのです。

雇用、解雇相談8,000件、休業扱いで給与7〜8割負担
津波の被害の大きかった岩手、宮城、福島の太平洋沿岸部の就業者は、約84万人と言われています。3県の労働局へは、失業手当や雇用、解雇など被災者の相談が3月末時点で8,000件。新卒者の内定取り消しも144件あったと言います。企業が被災し、復旧が困難となれば、新卒者も受入れられず、従業員も仕事がなくなり職を失う被災者は数万人に上るでしょう。
政府は4月5日、東日本大震災の被災者向け雇用対策である、雇用調整助成金の支給要件を緩和と公表。雇用調整助成金は、売上が減少した企業が従業員を休業扱いにした場合、国が企業に変りに給与の7~8割を補助する仕組みで、被災地に加え、計画停電で操業停止となった企業へもほぼ同じ条件で適用するとしています。また、被災者向けの雇用の確保に、景気対策で平成20年から各都道府県で積み立てられている基金を活用し、介護や医療など成長分野に限定されていた業種をここにきて緩和。都道府県や、市区町村の事業を被災者向けに直接雇用できる特別な措置をとりました。

避難地域で雇用/鳥取:200人雇用、福井:116人募集
全国の自治体では、被災者の雇用支援に、県や市区町村の非常勤職員の採用が相次いでいます。鳥取県は、県内に避難してきた被災者向けに、約200人を市町村の非常勤職員として採用することを決めました。福井県でも緊急雇用創出事業として、県内に避難する被災者向けに116名を募集。県の事業や市町の事業合わせて23事業に、各自治体や委託業者に被災者の優先採用を要請しています。事業内容は、林道の補修や外来生物の分布調査、データの入力作業など多岐に渡り、慣れない土地環境での仕事となりますが、もとの生活を取り戻す一歩として進んで欲しいものです。
 
福岡:被災企業ごと県内誘致、神戸市:仮設工場1年無料貸し出し
一方、福岡県では、事務所が被災した企業に対して、企業ごと県内に誘致する動きも見られます。県では、受付窓口を4月中旬までに設置し情報を一本化。空き施設や事務所などのほか、取引先となりうる企業も紹介できるようにするとしています。さらに従業員の家族向けに、住宅や学校などの相談にも対応するようです。神戸市では、阪神大震災の際に仮設工場として建てた貸工場を10区画貸し出し、1年間賃料は免除としています。
阪神大震災後には、仮設住宅での孤独死が問題となりました。今回の震災では、その教訓が生かされ、町単位での移動、会社単位の移動と孤立しない動きが見られます。

雇用した企業へ90万円助成、新卒3年以内は120万円に引き上げ
被災した企業では、本来であれば4月から新社会人となる新卒者の内定取り消しも、全国の企業から受け入れの申し出もありました。政府は若年層対策に卒業後3年以内の被災者の雇用を促すため、雇用した企業に対して100万円の助成金を、被災者の場合は120万円に引き上げ、60歳以上を雇用した企業に支給される「特定求職者雇用開発助成金」の対象を、被災者に広げ、年齢を問わず雇用した企業に最大90万円助成するとしています。「雇用」と連呼した政府では、被災者向けの緊急雇用対策案を第1弾として、第2弾、第3弾と継続して支援策を打ち出し、官民一体となって雇用確保と言います。

「日本はひとつ・しごと協議会」/被災各県に設置
被災地では、被災者や被災企業が利用しやすい事業、雇用環境を目指し、「日本はひとつ・しごと協議会」を被災各県に設置。自治体や国の出先機関、関係団体で構成し、情報を共有、一本化すると言います。復興需要に建設や土木事業を中心に、避難所でのケアや、警備、地域パトロールなどにも事業を拡大し、一人でも多くの雇用を確保したいものです。日本が危機的な今、「政治もひとつ・復興協議会」として被災各県、現地での状況、要望を直接聞き出し、官民一体となってより最善である支援を行ないたいものです。

[2011.4.8]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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