株式市場が安定:震災需要見込む/東京電力株価399円!5分の1に/外国人投資家の日本株買越しが支え
日経平均株価、3営業日で18%下落
3月11日に発生した大地震に大津波、そして福島第一原発の事故と3重もの大災害が重なり、災害日翌週の国内株式市場は売りが急増し、大幅に下落しました。日経平均株価は、震災前、10日の終値が10,434円から震災当日の11日には10,284円、週があけて14日に9,620円、15日には、8,605円と、わずか3営業日で18%も急落しました。株式市場は、日を追うごとに被害の大きさが明るみになり、また福島第一原発の放射能漏れなどによって売りが急増。15日には一時8,227円まで落ち込みました。
ヒストリカルボラティリティ84.8に上昇、1日には29.5
日経平均株価は、災害や原発事故などの不安材料と、復興への需要、期待が交差し上昇・下落を繰り返し25日には、株価の変動性を表す数値・ヒストリカルボラティリティは、震災前、20前半で推移していましたが84.8まで急上昇しました。その後は落ち着きを見せ、4月1日には29.5まで低下しています。
阪神大震災より多い不安材料も株価は上昇
16年前の阪神大震災後の株式市場は、2割ほど下落が続き、上昇に転じたのは6ケ月後で、震災前の水準に戻したのは1年半後でした。東日本大震災の不安材料は、大津波による広域範囲に渡る被害に、福島第一原発の放射能漏れ、計画停電など、阪神大震災にはなかった懸念があるにもかかわらず、株価が下落・上昇を続け4月1日には9,708円まで上昇しました。株価上昇は、被災地のインフラ整備や新しい街づくりなどへの復興需要や、何よりも日本の早期復興を世界中で支援している事ではないでしょうか。日本は過去、これほどまで諸外国から支援されたり、応援メッセージを受けた事はないでしょう。
日経平均株価は、昨年11月から続けられる米国の量的緩和や、震災後にG7(先進7ケ国)による10年半ぶりの協調介入で円安へ戻した事も下支えとなったのでしょう。日銀も2月25日から3月29日まで、6,925億円の為替介入を実施したと財務省が3月31日公表しています。
東京証券取引所:外国人投資家買い注文!過去2番目の大幅買い越し
震災のあった週明けに売りが急増し、日経平均株価が8,227円まで下落したものの、4月1日には9,708円まで戻したのは、外国証券経由からの買い注文が多かったことのようです。財務省によると、3月13日から19日に外国人機関投資家による株式の売買は、売りが8兆5,961円で買いが9兆4,871億円と、差し引き8,910億円の大幅な買い越しになっています。
外国人機関投資家は、日本の財政、復興への巨額予算、被災地での復興意欲、海外からの手厚い支援などのプラス要因と、原発事故や放射能漏れ、計画停電などマイナス要因を総合的に分析、「日本は復興し発展を遂げる」と判断し最安値となった日本株を手に入れたのでしょう。東京証券取引所の「投資部門別売買動向」の「外国人投資家」の金額ベースでは買い越しが9,552億円と過去2番目の大幅買い越しとなりました。
東電株5分の1に!399円まで下落
株価下落の主要因となっている福島第一原発事故の放射能漏れは、今も命をかけて東京電力や、関連企業の技術者が原子炉安定に戦っています。一方で、放射能漏れや計画停電など、企業への影響も大きく、東京電力の株価は震災前、3月10日の2,153円から4月1日には449円まで下落。一時は、399円と昭和26年、上場時につけた393円に迫るほどでした。見通しのつかない補償額や真夏に起きうる計画停電に、一企業ではとても対応できないでしょう。報道では国有化も検討されていますが公的資金の注入など、東京電力に対する明白な支援策や放射能漏れに関する情報開示、計画停電に対する対応策を訴えなければ国民も納得しないでしょう。
原発の冷却、安定作業が長期化するなか、米国、フランスからは原子力、放射能の専門機関や企業、軍が来日し対策が行われます。まずは安定を第一にし、被害を最小限に抑え、日本の安全神話を取り戻したいものです。同時に被災地復興に向けた需要で、復興関係産業を牽引役に、地場産業に波及効果をもたらせ、株価安定と市場の賑わいを取り戻してもらいたいものです。
[2011.4.5]
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