コロナ感染で中小企業の「2025年問題」が前倒しに!?切実すぎる後継者不在

70歳以上の経営者は70歳未満の経営者の2倍
経済産業省中小企業庁が平成28年度に中小企業の現状について調査した結果によると、70歳未満の経営者が約136万人なのに対し、70歳以上の経営者は約245万人と2倍近く高齢化が進んでいることがわかります。
この結果、中小企業の61.4%が後継者不在により事業を承継できなかったことで、成長性が見込める技術や商品、サービスを持ち黒字であるにもかかわらず、休廃業や解散に追い込まれるケースが増加しています。
中小企業の休廃業・解散件数は年々増加しており、黒字廃業予備軍も約60万社あると指摘されています。
このままでは650万人の雇用、GDP22兆円が消失
後継者不在問題は、何年前からも指摘されており、中小企業庁の試算によると、事業承継問題を解決しなければ廃業が急増し、令和7年(2025年)までに推計で約650万人の雇用や、約22兆円のGDP(Gross Domestic Product:国内総生産)が失われると見通しており、これが「2025年問題」と言われる要因です。
ただ、令和7年を待たずにもこのような状況が前倒しで起こってしまう可能性があるのが新型コロナウィルス感染症で、東京商工リサーチによると令和2年に休廃業・解散する中小企業は約5万件、倒産件数は約1万件と推測しています。

後継者不在の場合はMBOやM&Aも
事業承継の最大のポイントは、後継者の有無であり、親族が受け入れれば相続して株式を譲渡できますが、親族が受け入れなければ社内に後継者を依頼しMBO(Management Buyout:経営陣買収)または、従業員を昇格させ内部昇格し、承継します。
これでも承継者不在であれば、第三者へ承継するM&A(Mergers and Acquisitions:企業の合併・買収)で事業を売却する手法があります。
M&Aと聞くと大企業が対象と思われがちですが、後継者不在の多い中小企業の事業承継において今やM&Aは主流となりつつあります。
菅官房長官「中小企業を統合・再編」
次期総理大臣候補が注目されている菅官房長官は9月5日、中小企業の成長や効率化の阻害要因とされている中小企業基本法の見直しを言及し、中小企業の統合・再編を促進すると表明しました。
安倍政権のアベノミクスの承継と同時に、急速なグローバル市場における日本の経済の競争力強化に政策の照準を定めるとしています。
これは、新型コロナウィルスの感染拡大でマスクや防護服、医療機器などの供給に困難な状況に陥ったことを機に、供給する中国依存から生産拠点の分散を進めることで国内雇用の拡充、経済活況などに繋がると期待されます。
●関連記事:「事業承継の仲介を全国展開する日本政策金融公庫!日本企業の87%を占める小規模事業者対策」[2020.2.4配信]
[2020.9.11]
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