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混沌とした経済、指数では測れないデフレ脱却局面

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資金調達DIはマイナス

100727_3.jpg日銀21日発表の「資金需要DI指数」では、過去3ヶ月の企業資金需要はマイナスでした。3ヶ月前の調査(4月)よりも更に下回りました。
日銀としてはこの状況を「金融機関の実感としては、資金需要の減少に歯止めがかかっていない状況」との判断しています。大企業では既に「他の資金調達手段にシフト」がすすんでいるとしている中で、日々の資金繰りにおける脱金融機関依存は、中堅中小企業にも定着しつつあると判断できます。

全国中小企業動向調査では3年ぶりプラス
また、政策金融公庫が22日発表した「全国中小企業動向調査」では第1四半期の中小企業の業況判断指数は3年ぶりにプラスに転じたと発表。次の第2四半期は横ばいから微減が予想され依然として中小企業景気動向は厳しい中にあるとの判断できます。
日銀の資金需要DIがマイナスであるところから、3年ぶりプラス業況判断も一部の業界に限られているのではないかと、偏りが懸念されるところです。

指数だけでは判断できない

モラトリアム法案の影響で資金需要はあっても企業の体力をつけるほうが先決だと、設備投資に消極的な姿勢が見けられます。また事業仕分けなどでも無駄扱いされる新技術開発もあります。このことから、日銀の金融緩和政策がすなわちすぐにデフレ脱却の成果をあげるかどうか疑問が残ります。
デフレ対策に今必要なことは景気浮揚政策でも雇用確保でもないのです。将来の不安に対する方向を金融機関、日銀、政府、経団連が指し示すことでしょう。現場の技術者、一般の生活者はデフレ脱却よりも、好転しない経済状況でデフレなりの生活リズムを身につけつつあるといったところでしょう。

新技術で生活環境が大きく変化

今までの統計的な基準では景気を判断できななくなっています。先の見えない混沌とした時代背景と、エコ関連など新しい技術や、ITなど通信インフラ整備・テレビのアナログ放送からデジタル放送に変わるなどによって、新しい生活環境イデオロギーが定着しつつあるように感じます。
私たちが最近感じる混沌とした感覚は、新しい生活環境イデオロギー定着の産みの苦しみに他なりません。

失われた10年、リーマンショック、100年に一度の不況、

近い将来の社会がどこに向かっているのかまったくわからない社会では、立ち止まってしまって「今は判断をしないと言う最悪の判断」をしてしまうのでしょう。新興国台頭している今は、世界的には市場を広げるビックチャンスなタイミングです。これから日本の進む方向を、どの立場の方でもいいですから指し示すことが大切でしょう。
よく考えてみると、私たち中小企業は、いまだに平成初期の失われた10年をそのまま続けているように思えてなりません。中小企業にとって100年に一度の不況は失われた10年が解決しないうちに訪れたといっていいでしょう。
昭和の初期には、この状態から悲惨な争いに発展してしまいました。たくさんの犠牲者を出した苦しい歴史を繰り返さないように、今こそグランドデザインを示してもらいたいものです。

〔2010.7.27〕

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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