最近の傾向:モラトリアム法案の後遺症、自信喪失者増加
最近の相談者傾向
不良債権の処理が少しづつ進んでいるように感じます。整理回収機構に譲渡された債権、民間サービサーが管理する債権の相談に見える方が増えてきました。社会は徐々に経済が回復基調にあるので金融機関が、回復不可能と判断した企業の債権をサービサー譲渡に向けて着々と進めているように感じます。
ここで得意とする分野や利益の取れる分野を残して、赤字部門や計画通り行かない部門を整理統合するのも今の時期でしょう。デフレが回復基調にある今こそ収益部門・赤字部門・不明な部門・将来楽しみな部門という様に分類して管理してみましょう。必ず手ごたえのある結果が得られるものです。また、会社存続に向けて思い切った行動も必要でしょう。
モラトリアム後遺症・自信喪失
従来の勘に頼り、経験に裏打ちされたと感じている経営者が、想定外の事柄に出くわしたときに、すっかり自信喪失している姿を、まま見受けます。モラトリアム法案の後には救済があるのか?リスケジュールをすると二度と金融機関からの借り入れは出来ない。といった迷信に似た根拠の無いウワサによって、自信喪失してる経営者の相談に出会います。これは、経営者として自信の裏返しでどうしていいかわからない、近い将来が見えなくなるなど、どうやら急速に圧迫感が増してくるようです。そこでセントラル総研は、簡単な管理会計を勧めています。簡単な仕分けの違いで経営判断に大いに役立つのです。
管理会計の勧め
ここで管理会計の件を持ち出すのには、勘や経験に頼った財務管理から、目標設定に応じた管理をすることで私たちが勧めるCF経営を基本とする強い財務体質を維持できるのです。このような管理経営を目指していれば、見極めがしやすくなります。下記にブログに載せた維持する事業、廃業する事業の見極めを掲載します。以下、ご参考まで・・・・
[2010.4.16ブログ記事より]
(4)継続する事業、廃業する事業の見極め
事業再生において経営者は赤字事業を思い切って切り捨てる決断も必要になってきます。継続する事業か否かは損益計算書を見ればわかります。赤字続きの事業は、黒字に変える戦略がなければ再生の見込みはないでしょう。営業利益以上に債務が多く負担になっているからです。こんなケースの場合は、債務の返済を見直したり、経費のカット等するなど、資金の「入り」と「出」を調整しなければなりません。経営者・社員の給与、取引先・金融機関・税金・社会保険・その他経費などの支払いの優先順位を決め、カットできるものは削ぎ落としていきます。支払う優先順位を見極めなければ廃業を早める結果になってしまうでしょう。
廃業することで家族の生活を守れるのなら廃業も一つの再生と捉えられます。それが歴史のある事業でも幕を引く決断が必要になります。その決断も経営者の責任です。再生の見込みがなければすみやかに撤退することをお勧めします。経験上、「もう2年がんばれば」「息子が継いでくれたら」「赤字だがこの事業が好きだ」と周りに期待を持たせても、いづれ立ち行かなくなるからです。
事業を終わらせるにもタイミングが大切です。仕入先、金融機関にも支払ができず、自宅も事業所も競売にかけられ、何もなくなった状態で事業を畳んでも周りに迷惑をかけるだけでしょう。自己破産にもお金はかかるし、民事再生ならより多額の予納金が必要になってきます。最後の最後まで粘って無一文になるより、その一歩手前で終わらせなくてはなりません。
多くの経営者の悩みは、事業を終えると連帯保証人に迷惑がかかるだろうということです。連帯保証人にはすべての経営状況を話し、債務と立ち向かわなくてはならなりません。そういう意味では事業を終える半年以上前には連帯保証人対策も行わないと結果的に迷惑をかけ、信用を失ってしまいます。余力がある状態で廃業を決め、債権者には支払える範囲内で支払い、連帯保証人対策も抜かりなく行って終わらせることが何よりです。
大企業では、損失補てんの証券不祥事や総会屋への利益供与問題で平成9年、社会問題にもなった山一證券が自主廃業。最近では、過払い金返還規制で貸金業界の自主廃業が目立っているようです。大手のアイフルは事業再生ADRが成立したものの中堅の貸金業者の廃業が目立っています。中でも大阪府ではピークであった昭和61年年に4,517業者だったのが平成22年3月末には1/13の350業者に減少。中小企業にとって金融機関以外の一時借入の受け皿であった貸金業者が減少したことで選択肢も少なくなっています。無登録のヤミ金業者に手を出さなければいいのだが、それだけが心配ですね。
[2010.7.23]
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