(6)経営危機・・社員のモチベーションをどう維持するか
企業にとって経営危機に遭遇したときに一番避けたいのは風評被害です。「あの会社は危ない」など噂が広まると取引中止になる可能性も出てきます。取引先には最後の最後まで情報を漏らさず再生を進めていきたいですね。
逆に金融機関に対しては真っ先に相談しても問題はありません。金融機関は守秘義務をを負っているので危機情報が漏れることはありません。リスケジュールなどすぐに申し込み対処すべきです。仕入れ先に対しても支払サイトを1ケ月延ばしてもらうなどして具体的な再生案を提示し、交渉していきます。
経営危機に陥った企業でよく見られるのが社員の不平、不満、ヤル気をなくした光景です。営業活動や商品の製造にも影響し、結果的に売上が落ち、不良率も上がってしまいます。いかに社員のモチベーションを維持するかが重要になってきます。
リーダーである経営者が目指すべき再生の方向性をしっかり立て社員を引っ張っていかなければなりません。
経営危機情報の共有化も一つの課題。短期的な資金繰りの悪化であれば役員、幹部、部長クラスと共有するか、経営者と財務担当者だけで共有してもいいでしょう。しかし、より切迫した状況ならより多くの社員と情報共有したほうが私はいいと思います。
パナソニック全額出資の朝日電池製作所は1970年代、経営悪化、倒産寸前になったときのことです。当事年間120日の休暇があり、ラインは常に誰かが休みをとり、生産が遅れる事態が発生しました。
そこで企業のトップは会社が苦しいことを社員に説明、「今、辞めるなら退職金は全額支給」「残るのなら有給を買い上げ、休まないで欲しい」と率直に直訴しました。その説明後、皆勤賞をとる人が続出、社員のモチベーションは上がりました。
このように社員に経営危機の説明をする場合は、データなど示しながらリストラやコストカットせざるを得ないことを承知してもらわなければなりません。
また、土木業と不動産業を営むある企業では、会社分割の後、黒字の不動産業を新会社へ移したところ、土木業の社員が危機感を抱き、懸命な営業努力で事業を吹き返したという例もあります。
いづれの場合にせよ、経営者は社員の力量を計って対応を決めなければならないということです。
<つづく>
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