事業再生・会社再建・M&A・事業譲渡・会社分割・経営改善・債務・連帯保証問題に立ち向かうセントラル総合研究所・八木宏之のブログ

(5)手放す不動産、維持する不動産を見分ける

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100419_1.jpg金融機関から融資を受ける際に中小企業の経営者は、所有する不動産に必ず担保をつけています。返済が滞ると金融機関はまずそこを狙ってきます。裁判によって不動産を差し押さえ、競売という方法で回収。つまり、不動産資産を持っているうちは金融機関も返済を諦めず、債務圧縮にも応じないわけです。
そうは言っても経営者にとって自宅は心のよりどこりのはず。工場、事務所は事業のベースに不可欠なもの。これらをやみくもに手放してしまったら再生はおぼつかないでしょう。
従来の再生スキームでは自宅は利益を生まないものとして早めに手放し、債務を圧縮、事業を立て直そうという考え方でした。ところがこの方法で再起を図れる経営者は経験上、ほとんどいませんでした。事業再生には家族の絆が大切。家は家族がともに暮らす場所。その場所を失うということは家族の絆を失うようなものです。再生の基盤を築くためにも私は自宅を守ることを優先しています。

自宅を守るためには、いったん善意の第三者に売却、それを賃貸で借りるセール&リースバックがあります。この状態にしておけば再生がすめば買い戻すことも可能になります。思い切って整理することで大胆な再生スキームをとれるケースもあります。
100419_2.jpg回収を逃れようを不動産の所有権移転してもあとから詐害行為(所有者の権利を阻害する行為)で訴えられる場合もあります。もし、善意の第三者がどうしても見つからなければ債務者主導の再生ファンドを利用する手もあります。再生ファンドを活用し、自宅も事業所も守りながらの再生が可能です。

昔、無借金経営をしていた小さな町工場の経営者が、金融機関から薦められ立派な工場と事業所を建てました。その後に過大な設備投資が経営を圧迫、「あの時、金融機関の誘いに乗らなければ」としきりに後悔していました。問題なのは債務超過でなく経営者の見栄です。事業所と工場を売却し、昔の小さな工場に戻ればいいと思う。周りから見れば衰退した印象にとられるが、事業が継続できるのなら今後、発展する可能性も出てきます。要は身の丈にあった不動産があればいいということです。
<つづく>

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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