事業再生・会社再建・M&A・事業譲渡・会社分割・経営改善・債務・連帯保証問題に立ち向かうセントラル総合研究所・八木宏之のブログ

(4)継続する事業、廃業する事業の見極め

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100416_1.jpg事業再生において経営者は赤字事業を思い切って切り捨てる決断も必要になってきます。継続する事業か否かは損益計算書を見ればわかります。赤字続きの事業は、黒字に変える戦略がなければ再生の見込みはないでしょう。営業利益以上に債務が多く負担になっているからです。こんなケースの場合は、債務の返済を見直したり、経費のカット等するなど、資金の「入り」と「出」を調整しなければなりません。経営者・社員の給与、取引先・金融機関・税金・社会保険・その他経費などの支払いの優先順位を決め、カットできるものは削ぎ落としていきます。支払う優先順位を見極めなければ廃業を早める結果になってしまうでしょう。

廃業することで家族の生活を守れるのなら廃業も一つの再生と捉えられます。それが歴史のある事業でも幕を引く決断が必要になります。その決断も経営者の責任です。再生の見込みがなければすみやかに撤退することをお勧めします。経験上、「もう2年がんばれば」「息子が継いでくれたら」「赤字だがこの事業が好きだ」と周りに期待を持たせても、いづれ立ち行かなくなるからです。

事業を終わらせるにもタイミングが大切です。仕入先、金融機関にも支払ができず、自宅も事業所も競売にかけられ、何もなくなった状態で事業を畳んでも周りに迷惑をかけるだけでしょう。自己破産にもお金はかかるし、民事再生ならより多額の予納金が必要になってきます。最後の最後まで粘って無一文になるより、その一歩手前で終わらせなくてはなりません。
100416_2.jpg多くの経営者の悩みは、事業を終えると連帯保証人に迷惑がかかるだろうということです。連帯保証人にはすべての経営状況を話し、債務と立ち向かわなくてはならなりません。そういう意味では事業を終える半年以上前には連帯保証人対策も行わないと結果的に迷惑をかけ、信用を失ってしまいます。余力がある状態で廃業を決め、債権者には支払える範囲内で支払い、連帯保証人対策も抜かりなく行って終わらせることが何よりです。

大企業では、損失補てんの証券不祥事や総会屋への利益供与問題で1997年、社会問題にもなった山一證券が自主廃業。最近では、過払い金返還規制で貸金業界の自主廃業が目立っているようです。大手のアイフルは事業再生ADRが成立したものの中堅の貸金業者の廃業が目立っています。中でも大阪府ではピークであった1986年に4,517業者だったのが2010年3月末には1/13の350業者に減少。中小企業にとって金融機関以外の一時借入の受け皿であった貸金業者が減少したことで選択肢も少なくなっています。無登録のヤミ金業者に手を出さなければいいのだが、それだけが心配ですね。
<つづく>

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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