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(10)再生事例1:営業譲渡・会社分割を使うケース

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事業再生のスキームの選び方は最終着地点によって異なってきます。今回より再生事例をあげて、再生スキームの選択例を紹介します。

再生事例1:建築業・不動産販売業A社

  • 業暦:50年
  • 100508_1.jpg年商:2億円
  • 従業員:23人
  • 借入金融機関:A銀行、B信用金庫
  • 残債:1億円、返済が滞りがちになっている
  • 所有不動産:自宅、本社ビル

--デューデリジェンスの結果--

  • 自宅、本社ビルが担保になっているので保全が必要
  • 破産申立を考え、新規の受注を止めているので当面の運転資金が必要
  • 手形の不渡りを出す恐れがある
  • 一部社員はすでにリストラ済み、現社員に給与を払うのも厳しい状態
  • 建築業は赤字だが、不動産販売業は黒字
  • 後継者がいるので事業の継続が大前提

--優先順位と再生スキーム--

<手形に頼る経営からの脱却>
経営立て直しのため、手形に頼らず現金決済に変えていきます。そのためには資金が必要となります。金融機関とリスケジュールの交渉をし、社内に資金を蓄えます。同時にキャッシュフロー表をつくり、お金の流れを把握し、お金を残す経営を考えます。

<不動産の保全>
自宅、本社ビルについた担保の状態(無担保、剰余、無剰余)、抵当権の順番や根抵当であるか調べます。その結果、両物件を残すのか、どちらかを売却し賃貸に移るのか決めます。残す物件は、協力者を見つけセール&リースバック方式で再生した後、数年後にその物件を買い戻します。

<連帯保証人の保全>
社長の父親が連帯保証人になっていたので、金融機関と交渉、社長の妻に変更してもらいます。妻なら資産は社長と同じであり、万が一請求が来てもとられるものはありません。断られた場合は、早い段階で父親の資産を保全する措置が必要となります。(父親所有の不動産を売却するなど)

100508_2.jpg<事業継続の対策>
会社分割で新会社を設立、長男を社長に据えます。その会社に黒字部門の不動産販売業を移し、営業を続けます。赤字部門の建築業は旧会社に残し、残債を引き継ぎます。

<残債の処理>
不動産を売却した後の残債は無担保債権となります。金融機関がサービサーに債権を償却した後は、サービサーと交渉し出来る限り時価を下回る金額で債務を買い取ります。

営業譲渡・会社分割を使ったスキーム例です。
<つづく>

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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