欧州委員会:WTO協定上の「市場経済国」ではない方針決定/またも中国に厳しい裁定!
欧州連合(EU)の欧州委員会が、中国の経済政策に対し、厳しい裁定を相次いで示しています。
黒鉛やコバルト、銅など11種類の原材料について不当な輸出関税などをかけ、中国国外の企業が入手するのを妨げているとして、世界貿易機関(WTO)に提訴しました。
さらに、中国をWTO協定上の「市場経済国」と認定しないとする基本方針も打出しました。
国内企業優遇も批判。紛争長期化は必至
提訴では、中国が国内企業を優遇する姿勢を批判しています。中国の原材料への輸出規制を巡っては、米通商代表部(USTR)も、9種類の原材料の輸出に不当課税し、価格をつり上げているとして、同じく提訴。これに対し中国は、「環境保護のために規制が必要」と反論しています。
今後は、同委員会、米国がそれぞれ中国と2国間協議を行い、60日以内に問題が解決しない場合、裁判の「一審」に当たる紛争処理小委員会の設置をWTOに求めます。紛争の長期化は必至でしょう。
規定条項が今年失効、勇む中国にEUがNG
基本方針について少し補足すると、中国は2001(平成13)年、WTOに加盟しました。
この際の条件として、当初15年間は、他国からのダンピング(不当廉売)認定などで不利な条件を課される「非市場経済国」扱いになることを受け入れましたが、規定条項が今年12月に失効します。
失効と同時に「市場経済国」に移行すると主張する中国に対し、EUが「待った」をかけたのです。
一方で、EUは、中国との対立を回避したい意向も示しました。中国抜きには経済が回らないほど強いつながりがあるほか、強硬姿勢を貫き、中国を刺激した結果、逆に、不当な安値競争に歯止めがきかなくなる恐れがあるからです。
中国の"無軌道ぶり"への締め付けは、一歩ずつ、着実に行うのが良策でしょう。
[2016.08.12]
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