米国大統領選考①:トランプ氏の共和党政権/米国経済再生の処方箋か?
両院を制する「完全勝利」
米国の大統領選で、共和党の候補、ドナルド・トランプ氏が勝利しました。8年ぶりの政権奪取に加えて、上下両院を制する共和党の完全勝利であり、民主党のオバマ政権が進めてきた政策の多くが、根底から覆される見通しです。
経済分野限らず、影響は世界に広がることでしょう。TPP(環太平洋経済連携協定)の発効も極めて困難とみられ、日本への影響も少なからず必至です。
把握しきれなかった庶民の悩み
欧州連合(EU)からの離脱を決めた英国の国民投票でも、メディアの世論調査が、「離脱派」の動向を見誤ったと指摘されましたが、今回の大統領選も予想は外れました。
増え続ける世界からの移民。近い将来、白人以外が多数となる人種構成の変化。グローバル化に伴う痛み。金融危機の打撃......。これらの問題に対する不満や怒りが、白人系の庶民の間で沸点に達していた現実を、把握しなかったのです。
メディアの能力の限界を言いたいのではありません。それほどまでに、底流の深い部分で、彼らの悩みは深まっていたということです。
増え続ける世界からの移民。近い将来、白人以外が多数となる人種構成の変化。グローバル化に伴う痛み。金融危機の打撃......。これらの問題に対する不満や怒りが、白人系の庶民の間で沸点に達していた現実を、把握しなかったのです。
メディアの能力の限界を言いたいのではありません。それほどまでに、底流の深い部分で、彼らの悩みは深まっていたということです。
就任反対デモ勃発
「史上まれにみる、不人気候補間の、どちらがましかを競った大統領選」と揶揄されましたが、最終的に、トランプ氏の極端な「米国第一主義」が勝ちました。
トランプ氏の戦術は大衆迎合路線です。しかし、米国はその濁流にのまれ、クリントン候補との醜聞争いの結果、国内は真っ二つに割れました。前代未聞の大統領就任反対デモまで起きています。
トランプ氏の戦術は大衆迎合路線です。しかし、米国はその濁流にのまれ、クリントン候補との醜聞争いの結果、国内は真っ二つに割れました。前代未聞の大統領就任反対デモまで起きています。
日本産業界への影響、対応は
課題山積とはいえ、米国経済は堅調な回復を続けていました。トランプ氏の保護主義は、いわば孤立主義の現れであり、経済再生の処方箋になり得るとは思えません。トランプ氏は、TPPへの反対も明確に表明しています。
さて、トランプ大統領の共和党政権、日本の産業界はどう対応するのかについて、さまざまな角度から検証します。
[2016.11.17]
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