成長戦略の柱:TPPが大筋合意!「国家百年の計」は生産者との温度差解消の秘策は?
世界のGDPの約4割を占める巨大な経済圏の誕生
安倍政権の成長戦略の柱である「環太平洋経済連携協定(TPP)」交渉が、閣僚会合で大筋合意しました。2010年3月以来、5年半をかけて、世界の国内総生産(GDP)の約4割を占める巨大な経済圏が誕生しました。協定に参加する12か国が、新たな貿易や投資の仕組みを創設したことで、消費や生産の拡大、雇用創出など経済成長の底上げが期待できます。
世界に先駆けて少子高齢化、人口減少が進む日本。将来的には国内市場の縮小も見込まれるなか、経済を活性化させることがTPPの狙いです。31分野で関税撤廃や規制改革が実施され、多くの農産品や工業製品の関税が下げられます。貿易や投資のルールが整備され、経済活動は自由度が高まります。安倍首相は、「自由で公正な経済圏を作る国家百年の計」と自賛しました。
追い風は吹くが、「生産者」の不安は残ったまま
家計には大きなプラスです。たとえば、輸入牛肉の関税は、TPP発効後、38.5%から27.5%になり、10年目に20%、16年目以降は9%と下がっていきます。輸入ワインの関税は、発効から8年目までに撤廃され、クロマグロやサケ・マスなどの水産物の関税もゼロになります。輸出では、日本車を米国に輸出する際の関税が、25年目には撤廃されます。米国向けの家電や産業機械、化学製品は、輸出額の99%以上の関税を即時撤廃。TPP圏内への企業進出、道路や鉄道などのインフラの輸出などにも、追い風が吹きます。
一方で、懸念材料もあります。海外からの農畜産物の輸入も拡大し、割高な国産品が価格面で太刀打ちできなくなる可能性があるのです。最大の懸案だったコメでは、米国とオーストラリアに無関税の輸入枠を新設することが決まりました。生産者の不安は、解消されないままです。大規模化、戦略的輸出、農業の再生につながる新事業など、ピンチを「改革」のチャンスに変えようとする生産者も多くいます。政府はそうした「攻めの農業」への支援を始めます。生産者が意欲を持てる支援こそ、求められています。
[2015.10.16]
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