TOTOの強さ③:風通しのよい企業風土に、鋭い着想が生かされる。
技術者が「夢」を語り合う場
衛生陶器大手のTOTO(TOTO(株):福岡県北九州市、喜多村円社長)の強さの秘密について、技術者が夢を話し合う「夢会」の存在があります。
"究極のトイレ"を目指して、開発社員らが自由に話しあい、将来の商品開発につなげる場。時代を切りひらき、世界へ市場を伸ばしてきた土台には、オープンな企業風土もあるのです。
試作2000種
たとえば、平成11(1999)年に開発された「セフィオンテクト」。掃除の手間を減らすトイレがつくれないかという長年のテーマについて、研究を重ねました。
陶器の表面に塗る上薬の上に、もう一層、ガラス層をかぶせます。便の汚れなどが蓄積する便器の表面の凹凸を、従来の1000分の1に減らすことで、汚物の汚れや水あかなどが付着しにくくなりました。開発チームは、最適な原材料の組み合わせを求めて焼成実験を繰り返し、試作は2000種に上りました。
除菌水/女性視点
平成23(2011)年には、ウォシュレットのノズルに「きれい除菌水」が搭載されました。
開発のきっかけは、「ノズルをなめられますか」という女性開発者らの言葉でした。「清潔さが足りない」という、女性ならではの視点です。努力を重ね、水道水に含まれる塩化物イオンを電気分解し、次亜塩素酸を含む水に変えることで、薬品を使わない画期的な除菌水が誕生しました。
2020年五輪後をすでに見据えた戦略
東京五輪が終われば、国内市場は縮小し、海外戦略がより重要になります。しかし、TOTO
は、単純な「M&Aで」には走らず、あくまで発想と技術力で商機を見出す戦略です。試金石となりそうなのが、「ネオレスト」。タンクがないデザイン、節水力、掃除がしやすい縁なしの形状、少ない水での洗浄を可能にしたトルネード洗浄など、最高峰の技術が詰め込まれています。
[2016.10.26]
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