百貨店大手の売上高、5社中4社減収。中国関税強化・円高傾向が"Wジャブ"
総務省の家計調査データや消費者物価指数でも、消費が思うように伸びていない現状です。景気の"もたつき"感がなかなか解消されません。
大手百貨店5社が今年5月に発表した4月の売上高(速報値)では、5社中4社が減収でした。訪日外国人観光客の主力、中国人の1人当たりの消費額が減った影響も懸念されます。
大丸松坂屋、そごう西武、三越伊勢丹軒並み減
大丸松坂屋百貨店((株)大丸松坂屋百貨店:東京都江東区木場2丁目 好本達也社長)は、前年同月比で6.3%減。そごう・西武((株)そごう・西武:東京都千代田区二番町 松本隆社長)は3.3%減。三越伊勢丹((株)三越伊勢丹:東京都新宿区新宿三丁目 石塚邦雄会長)は4.4%減。
免税売上高が3割減、婦人衣料1割減
大丸松坂屋では宝飾品が苦戦しており、インバウンドの指標である免税売上高は3割減でした。三越伊勢丹も、メインの婦人衣料が伸び悩み、首都圏店舗では前年同月比1割減でした。衣料品や化粧品などがふるわない状況では、当然、高額品も厳しくなります。
中国の関税強化、円高傾向という"Wジャブ"
中国人観光客の動向も影響しているとみられます。中国国内経済の停滞に加え、関税強化、海外から持ち込む購入品への関税が上がったことで、予想されてたことですが"爆買い"にも陰りが出てきました。ヨーロッパやアメリカなど海外情勢が不安定なだけに、円高傾向になっていてジャブのように効いています。
中国人「爆買い」頼らない戦略
訪日する中国人観光客の購買意欲向上と同時に、中国に限らずアジア圏からの訪日外国人に向けて、購入意欲をどう引き付けるかが、観光客数も百貨店の新たな戦略の柱になるでしょう。
高島屋にヒントあり
ヒントになりそうなのが、高島屋((株)高島屋:大阪府大阪市中央区難波5丁目1-5 木本茂社長)で、今回、全体のマイナス幅は0.8%と小幅でした。衣料品、高額品とも他の百貨店同様不振ですが、単月の免税売上高は過去最高の32億円に上りました。
高島屋は中国人観光客に限らず、全体的なインバウンド需要の取り込みがうまくいっています。
近隣に高速バスターミナル「バスタ新宿」※が開業した新宿店のほか、大阪店のインバウンドも業績好調の一因です。
近隣に高速バスターミナル「バスタ新宿」※が開業した新宿店のほか、大阪店のインバウンドも業績好調の一因です。
[2016.5.9]
バスタ新宿:平成28(2016)年4月に開業した、JR新宿駅南口にある交通ターミナルで、鉄道、タクシー、高速バスなどの乗降場を集約。
正式名称は、新宿南口交通ターミナル。
トラックバック(0)
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 百貨店大手の売上高、5社中4社減収。中国関税強化・円高傾向が"Wジャブ"
このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.h-yagi.jp/mt5/mt-tb.cgi/2518
コメントする