エコカー補助金終了、長引く円高で生産拠点が海外シフト!自動車業界の未来は?
エコカー補助金が出ない?
自動車産業を下支えしてきたエコカー補助金は、8~9月にかけての駆け込み需要で申請が多くなり、9月末の期限を待たずに終わろうとしています。補助金制度終了後の反動減は予測通りで避けられることもなく、今後の自動車産業への影響が懸念されます。
9月7日、補助金を管理する次世代自動車振興センター(東京都港区虎ノ門1-14-1郵政福祉琴平ビル 杉浦精一代表理事)は「6日時点で予算の残額は約102億円、1日当たり10~60億円で推移していたが駆け込み申請で一気に急減した」と発表しています。7日は同センターが約20回線設けた電話案内に「いつ打ち切りになるのか」という問合わせが殺到したそうです。
国内自動車メーカーでは、購入を決めたのに打ち切りのため補助金が受け取れない顧客の不満が高鳴るのを懸念しており、各メーカーでは補助金相当額を負担など検討しているようです。
エコカー終了後の追加支援は?
8月の国内新車販売台数(軽自動車は除く)は、290,789台と前年同月比46.7%増で昭和43年調査開始以来、最高の伸びを記録しました。補助金制度終了後の自動車産業の行方が気になるところですが9月7日、直嶋経済産業相は「かなり早く予算を使ってしまう状況」と期限前に補助金制度が終了する見通し指摘、「何らかの応援措置として(エコカーの)普及促進策を議論している」と補助金終了後の追加支援策を検討する考えを示しました。
エコカー補助金は7月の時点で期限前に終了することはある程度予想されていたはずです。8月にはすでに「駆け込み需要で期限前終了」と延長も望まれていました。これだけの消費意欲を促し自動車産業を押し上げた政策に追加支援策が決まっていないとは残念です。今回の補助金予算(経済産業省の予算)がなくなるタイミングで、自動車取得税などのさらなる税優遇などを国土交通省と共同で打ち出して欲しかったです。
円高・電気自動車で部品業界先行き不透明
報道によると9月5日、スズキはインドへ四輪車工場を建設する方針を発表。生産は2拠点で年間150万台に達し、日本の3拠点140万台を上回ります。日産マーチがタイから逆輸入され低価格を実現するなど、今後円高が続けば製造コストの安い新興国への生産シフトもさらに加速が予想されます。
9月末のエコカー補助金打ち切りで自動車メーカーが先を見越して減産体制に入ります。自動車部品を供給している中小企業では、今後の生産、雇用に影響が出てくるでしょう。中小企業の場合、メーカーを追いかけてすぐに生産を海外シフトすることは簡単なことではありません。また、全世界的なエコ化にともない自動車はガゾリン・エンジンから電気で駆動するモーターに変わろうとしています。モーター関連部品も電機産業の参入、仕様変更等のコスト負担も出てくるでしょう。このまま円高容認政策が続けば産業の空洞化はもう避けられないでしょう。
消費に繋がるのは割引感だけなのか
8月に調査以来最高の伸びを記録した自動車産業は、補助金という割安感が消費意欲に繋がりました。自動車や航空券、牛丼、ハンバーガーと割引感だけが消費に繋がる時代なのでしょうか。
自動車業界を見れば昔に比べて各メーカー似たり寄ったりで、昔のようにハートが震えるような特徴のある車が少なくなったように感じます。価格の割引も一つ、差別化をはかり付加価値をつけるのも一つ、現在のテクノロジーを盛り込んだ当時の「86トレノ」や「ハコスカGTR」などの復刻版でも作れば欲しい人は飛びつくのかもしれません。だけど、この程度ではエコカー補助金の代替にはならないでしょうけど・・・・・。
[2010.9.8]
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