住宅ローン起死回生「フラット35S」、厳しい審査でも1%金利ダウンの魅力
ローンの利用4,7倍に増加
国土交通省は、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の住宅ローン「フラット35S」の金利優遇措置の期限を、平成22年度末から1年延長して平成23年度末まで延長する方針を固めたと発表しました。契約当初から10年間「通常のフラット35」より金利を1%引き下げる優遇策で消費意欲を促進させ景気対策、優良住宅の普及を狙っているとの事です。
平成21年12月に緊急経済対策として鳩山政権が打ち出した「フラット35」は年度内申込で金利を10年間1%下げ、平成22年2月~7月の半年間で申し込み件数は5万5422件と前年同期の4,7倍に増加しました。
フラット35の目玉、1%金利ダウンの魅力
「フラット35」の平成22年8月の金利は2.230~3.2%で「フラット35S」はこれより1%低い金利で融資を受けられるため、庶民にとってのマイホームが一段と身近になった感があります。一生で一度の大きな買い物であるマイホーム。ローンの期間も25年~35年と長いため金利マイナス1%は魅力的な金融商品です。
早く返済したいがデフレで不安も
東京にある地銀の住宅ローン保有者アンケート調査(対象:男女1,487名)によると、住宅ローン返済期間は25年以上が69.2%でした。今、現在のローン借り入れ残高は2,000~3,000万円未満が26.2%と最多だったそうです。25年以上という長い返済期間に、繰り上げ返済について「金銭的な余裕ができる機会があったら返済したい」と回答した人は79.1%。金利の負担軽減や、「金銭的な余裕がなくても何とかして(繰上げ返済)したい」が6.7%と、「ローンは借金」というイメージから解放されたいという心理的な部分をのぞかせています。繰上げ返済に追加手数料などデメリットがあると思うかの質問に対しては「ない」が64.1%、逆にデメリットは何かの問いには「手元に資金がなくなる」が76.4%と最多でした。社会はリストラにデフレ、やはり手元資金がなくなることは不安なのでしょう。
意欲なくなる繰り上げ返済条件
繰上げ返済や借り換えは、住宅ローン保有者にとって負担が軽減されるのならと誰でも考えることです。住宅金融支援機構では、繰上げ返済や民間の金融機関や同機構からの住宅ローンから「フラット35」への借り換えも促していますが、不動産部の現場の声は「ローンの審査、物件の基準を満たす条件が厳しく、買換え手続きの手数料も高い」と低金利、固定と安心感はあるものの敷居は高いようです。せっかくの金融企画商品も手軽に利用できなければなんの意味もありません。対象者が違うのでしょう。耳ざわりのいい金融企画商品を作ることが目的で、実際に利用してもらうことを考えていないとしか考えられません。
繰上げ返済・融資・不動産鑑定の手数料、抵当権抹消・設定登記費用に司法書士報酬に、高い印紙代のあげく、審査が厳しければ利用したいという意欲もなくなります。デフレの今、もっと手軽に利用できる住宅ローン商品を企画してもらいたいものです。
[2010.8.26]
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