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意欲削がれる国内新興市場!アジア新興市場目指す日本のベンチャー

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空洞化目前の新興市場
23日の報道によると、アジア新興市場に上場する日本のベンチャー企業が多くなっていると報じています。新規株式公開(IPO)の低迷が続く日本での資金調達が見込めないとの判断なのでしょう。株取引が活発な中国上海・香港や韓国、台湾ひいてはインドで来年度までに10社以上が上場申請する見通しです。今後もアジア新興市場で株式公開を予定している企業が増えれば、日本国内ではますます振興株式市場の空洞化が加速してしまいます。

企業数61%減、投資額40%減
ジャスダック、東証マザーズ、大証ヘラクレスなどの新興株式市場では、IPO企業や支援をするベンチャーキャピタルの投資額が急速に落ち込みをみせています。
財団法人ベンチャーエンタープライズセンター(東京都中央区日本橋蛎殻町1-16-8 水天宮平和ビル 松村博史理事長)によると、平成21年度のIPO企業数はわずか19社にとどまり、前年対比39%と急速にIPO企業が減少。また投資額も主要20社で637億円、前年対比40%程度でした。明らかに魅力のなさを現しています。

100823_1.jpgプロでも見抜けぬ技に投資家も敬遠
証券業界では、「海外上場を検討したい」というベンチャー企業の相談が急増しているそうです。日本国内の新興市場での資金調達に見切りをつけ、成長力のあるアジア市場での株式上場を目論んでいるのです。
100823_2.jpg新興株式市場は平成18年ライブドアによる粉飾決算事件、また後に続く売上水増し事件などが続き上場審査が厳しくなりました。上場に際し、審査は公認会計士、上場を推薦する証券会社、上場を審査する取引所の三者共同で行います。このプロたちが粉飾、水増しを見抜けなかったのです。信頼が失われ投資家が敬遠するのも当たり前でしょう。また、株式市場に容赦なく検察の査察が入り、マスコミを利用した場渡り的な捜査によって、投資金額をいっぺんに失った投資家がいれば新興市場に投資家も魅力を感じないでしょう。

新たな新興市場も期待薄
経済産業省では「中小企業・地域経済産業」として「経営革新・創業促進」を政策に挙げています。「新商品・新サービスの開発または新たな生産方式、販売方式の導入などの新事業展開の取り組みを支援することにより、中小企業の経営革新・創業を促進し、中小企業の活性化・健全な発展を図る」という中小企業にとっては心強い政策に聞こえます。ベンチャー企業が羽ばたきやすい環境、制度を政策通りにつくってもらいたいものです。

水清ければ・・・・
日本の上場意欲のあるベンチャー企業が今後もアジアの新興市場に向かえば、産業の衰退を早める結果にもなります。厳しくするばかりでなく審査制度を見直し、一定の基準を設け必要なところは緩和するなど早期に対策が必要です。
平成22年度10月12日には大阪傘下の大証ヘラクレスとジャスダックが統合され、新ジャスダックが公開されます。大阪証券取引所ではアジア企業の上場誘致活動を行っていますが、このままの状況では海外企業どころか国内ベンチャーにも見向きもされないでしょう。
モラルばかりを追求する市場より、基準を定めて実利を考えて欲しいものです。「水清ければ魚棲まず」(出展:宋名臣言行録)の例え通り大まかな基準が人材を育てるものです。

[2010.8.23]

 

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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