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いつもなら円高還元セール!円高でもデリバティブ損失企業窮地に

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為替が生み出す多大な損失
8月12日、為替は一時1ドル84円台まで上昇し、平成7年以来15年ぶりに高値を更新しました。輸出に頼る企業にとってこの円高水準が続けば当初予想していた想定為替との差額によって多大な損失を招くことになるのです。
金融商品には外国為替や株式、債権など伝統的な金融商品あるいは取引から派生したものをディリバディブといい、代表的な一つに「通貨オプション」があります。「通貨オプション取引」は予め定めた期間(一般には5年間)に決められた為替価格で売買する取引です。

固定金利か変動か・・どちらが得か
「通貨オプション取引」は契約時に現時点での為替より有利な金額を取り決め、予め定めた期間内で決められた為替金額で取引(売買)を行うという金融商品の一つで100812_2.jpgす。
簡単に言えば「変動金利の住宅ローンが2%と、5年間固定金利の1.5%のどちらを選びますか」というものです。数年前に金融機関に勧められ契約を締結し、この間の急激な円高によって多額の損失を発生させてしまい、資金繰りはおろか経営を圧迫している中小企業が増えているのです。このような企業は、地域や業界では中堅クラスの企業で安定している会社がターゲットになったのです。

予測不可能な世界情勢
今の世界情勢を見ても半年先も不透明な世の中、為替のプロでさえ為替の予測など出来ません。契約時、リスクよりもその時点での有利な条件を提示され契約すれば、あとは決められた期間で取引(売買)をしなければならないのです。また困ったことに途中解約の場合は損害金を支払わなくてはならず、そのまま契約を履行しても損害金より多くの損失を出す場合もあり、リストラや業務縮小、ひいては倒産に追い込まれる企業も出てきています。

消費者には、なんの還元もない円高
帝国データバンクによると平成20年以降、このデリバティブ損失による倒産は20件で平成21年以降も増加の傾向です。サブプライム問題が淘汰された平成19年半ば100812_1.jpgに1ドル120円だったのに今ではが84円にまで円高が進んでいるのです。大企業のトヨタは1円円高になると年間の利益が300億円減少(参考:日本経済新聞)するというのです。
デリバティブ損失による倒産は、22年1月~4月までに8件と平成21年の9件と前年を上回るペースで推移しています。なかでも水産関係が8件とトップです。

円高還元セールは夢の夢
振り返ってみるとひと昔前には円高になるとデパート、ガソリンスタンド、スーパー、量販店や飲食店までが、円高になると「円高還元セール」をやっていたのを思い出します。今ではデリバティブ取引でそれどころではないのでしょう。

リスクを理解してから契約を!
金融商品はリスクをしっかり把握してから契約、出来れば金融を理解している協力者に助言をお願いしたいものです。デリバティブを勧めている相手は良くも悪くも金融のプロなのですから。

[2010.8.12]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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