生き残りのため消え行くジャパンブランド
育て上げたブランドを他社へ
29日の日本経済新聞の一面に「パナソニック、三洋電機を完全子会社化」と掲載されていました。三洋電機の全株式をパナソニックが取得する事で経営を一体化、電池から住宅周辺事業まで経営を集中させ、世界展開を加速させるとの記事です。まさしく生き残りをかけた「サンヨー」の施策と思えます。
「サンヨー」の名で長年親しまれ最近では格安のフルハイビジョンの防水ハンディビデオカメラが印象に残ります。安くて画像が綺麗、しかも防水。今期、過去最高利益を達成した米APPLE社も推薦していたビデオカメラです。それが自社の「サンヨー」のブランド名を自ら「パナソニック」へ譲り渡すのです。
合従連衡1.世界のマーケットを選択したサンヨー経営陣
「サンヨー」経営陣は従業員のため、その家族のために生き残りをかけて選んだ苦渋の判断だと推測できます。停滞する国内需要を見据え、「パナソニック」とともに市場を拡大して「サンヨー」の技術、ノウハウを世界にアピールする事を加速するためだと思えますが、そこに「サンヨー」ブランドはなく「パナソニック」としてという寂しい現実があります。
「サンヨー」の従業員は今、何を思うのでしょうか。長年「サンヨー」製品を研究開発し、商品化、汗を流し量販店へ営業をし続けた努力。それが両社のトップ会談で「パナソニック」の子会社化になり、「サンヨー」ブランドが消えていく。従業員の気持ちは想像つ
きますが「生き残るため」と思うしかないのでしょう。
今後は「サンヨー」の不採算事業部を売却、撤退を決め、成長事業であるリチウム電池や太陽電池などで世界へ拡大していくのでしょう。
日本でのシェアは約9割
ライバル企業同士が手を組み、日本国内のマーケットから世界へ拡大していく。生き残る為の1つの選択肢です。最近ではインターネット検索大手のYahoo!がGoogleの検索エンジンシステムを使うという報道があり、ネット業界はもとより社会を賑わせています。
Yahoo!がエンジン開発費を抑える代わりにGoogleの検索システム、広告手法をを利用させてもらうことになるのです。業務提携によって、国内検索エンジンのシェア9割をグーグルが握るというYahoo!の選択。今後の検索結果表示や検索結果をいかに上位に表示するかというSEOという技術にことさら注目が集まりそうです。
合従連衡2.異業種コラボレーション
ライバル企業が提携するように異業種同士でも手を組み、事業を拡大させようとする企業があります。お父さん世代から子供たちにはお馴染みのトミープラレール。男の子なら誰でもプラレールで電車遊びをしたはずです。そのプラレールを日本マクドナルドは「ハッピーセット」のおまけに選びました。マクドナルドだけでしかもらえない機関車や新幹線で他と差別化、集客を誘導しています。「期間限定」「この店だけ」に弱い日本人心理をうまくついているのでしょう。
大手企業が提携、合併、コラボレーションし社会の話題となる時代。中小企業の私たちも生き残るため、事業拡大のために何らかの手を打つ必要があります。ライバル会社であっても。全く違う業種であっても生き残りをかけ考えていかなければなりません。
ブランドは消えてもその日本独特の技術、ノウハウはいつまでも残ります。いつか再び自社ブランドが甦ることを願います。
自社の特徴を把握する
中小企業も会社の分析をして特徴を把握しましょう。自分の姿は自分では見えないものです。例えに「山に入って山を見ず」の通り日ごろから接している自社の特徴はなかなか把握できないものです。また、また時代背景によって、良いと考えられていたところが、悪い要因になったり、反対にお荷物事業部が新規顧客を呼んできたりと、良し悪し社会背景によって変わります。中小企業経営者の皆様は、このように自社の特徴をきっちり把握することが大切です。外部の識者の見解や一般に言われているデューデリジェンス(DD)をなさることをお勧めします。
[2010.7.30]
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