大阪府、業を煮やして特区提案!貸金これが実情
グレーゾーン復活、貸付限度額独自判断
大阪府の橋本知事は6日、6月18日に完全施工された改正貸金業法で、資金繰りに困惑する中小零細企業や個人が借入ができない懸念があることから改正法を緩和した「小規模金融構造改革特区」を金融庁に提案しました。
提案内容は、大阪府内に本店を置く貸金業者に、1年以内の短期貸付や20万円までの貸し付けについては上限金利を20%からグレーゾーンぎりぎりであった29.2%に。総量規制を年収の1/3とした貸付限度額を大阪府独自の算定式で引き上げるというものです。この他、貸金業者の負担で債務者の相談や支援機関を設置、専門家と連携してカウンセリング支援も充実させたいというものです。
「貸し手と借り手のバランスをとって適正な貸金取引ができる仕組みを提案したい」というのが橋本知事の提唱です。
真っ向から否定!大阪弁護士会
提案を受けた自見金融相は「特定地域で上限金利を上回る貸し付けを刑罰の対象から除外すれば、法の公正性に反する」と主張し、大阪弁護士会の金子会長も「改正法の趣旨を没却するもので、到底容認できない」との声明を出すなど否定感が強く実現に向けてハードルは高いようです。
国と自治体が負担?
橋本知事も我慢の限界だったのでしょう。これまでの債務者、貸金業者の不満を一気に吐き出したかのように見えます。債務者や関係者から多数の声を聞かされたことでしょう。
大阪府は、低所得者に生活資金などを貸し付ける国と大阪府が負担する「生活福祉資金」の貸付総額が平成21年度、全国ワーストの55億6000万円(7月8日速報値:読売新聞調べ)で、貸付件数も6497件(同)と前の年の3倍に増えたのです。
平成22年6月の貸金業法改正によって今年度は80~90億円画必要とも予想され、同改正によって全国の「生活福祉資金」の原資確保も心配になります。
国はヤミ金を勧めるのか
一部の有識者、専門家、そして官僚や政治家らで強引なまでに施行された改正貸金業法。現場でこのような問題に発展することはわかっていたはずです。あまりに貸金業を必要としない人たちで施行に踏み切ってしまった結果です。現場とのこの温度差を解消しない限り、いくらすばらしい制度、法案をつくっても誰もが有意義に活用できないのです。
例えが悪いですが、今のヤミ金、ソフトヤミ金のほうが融通がきいて、金を借りなければ回らない債務者の弱みもわきまえ、心を掴み気持ちを汲んでくれると聞きます。決して勧めませんがこの点だけでも制度作成段階で当事者目線になって対応していただきたいものです。
今の改正法のままでは国はヤミ金を勧めているようにしか見えません。「多重債務をなくすには借りれなくすればいい」という単純な理屈は、実際に多重債務や過重債務に陥った人の話を聞いたことのない人たちの発想なのでしょう。
皆さん、このままで良いのでしょうか。
[2010.7.8]
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