水面下で消え行く企業、27432件
回復の兆しが見えてきたといわれますが・・・
今週、東京株式市場は前日までの米国市場での株高や、円安が好感で、日経株価平均が1ヶ月ぶりに1万円台に回復しました。政府も6月の月例経済報告の基調判断を上方修正するもようで、そこには「回復」の文字が盛り込まれるのではないかと思われます。
また、企業の倒産件数も「中小企業金融円滑化法(モラトリアム法=返済条件変更)」や「景気対応緊急保証制度」など政府の金融支援政策によって、大型倒産が目立った平成20年をピークに平成22年5月まで徐々に減少の傾向にあります。今後の政府の手当支給も相まって明るい兆しが見えてきたようにも思われますが、私ども事業再生の現場ではまだまだ窮地脱出とはいかないようです。
4万件を越える企業が事業を停止
平成21年度(平成21年4月~平成22年3月)、倒産企業は1万4732件(東京商工リサーチ調べ)。これに対して休眠・廃業・解散している企業が2万7191件(帝国データバンク調べ)と2倍近くあるというのです。この2つを合わせただけでも1年で4万件以上の企業が事業を停止したことになります。
この2万7191件は、倒産という定義には入らず、水面下で事業を停止している企業です。実質経営破たん状態でも、債権者から債務返済を猶予してもらっていれば倒産という定義には入らず、休業・廃業・解散にしても事業を停止しているだけで、倒産の定義に入りません。つまり2万7191件は表には出てこない数字なのです。
オフィスの空室率も上昇
都心のオフィス(千代田、中央、港、新宿、渋谷、5区平均)は、事業縮小や営業合併などが原因で空室率が8.94%(平成22年5月)と、前年同月の6.96%から上昇傾向です。(三鬼商事調べ)私ども千代田区の事務所の周りでもビル一棟に必ずテナント募集の広告があり、上を見上げれば屋上広告もはずされたままになっています。
郊外へ出れば大型商業施設などに集客されてしまったシャッター商店街もたびたび見かけます。これが表に出てこない水面下の中小企業、零細企業の実態です。
さらに倒産が増加する予想とは
企業の倒産が減少傾向とはいうものの、負債総額5000万円未満の零細企業だけの倒産をみれば高水準で推移し、平成22年5月には倒産件数全体の占める割合が50.7%と前年同月の44.6%(帝国データバンク調べ)から増加、過去最高の構成比となりました。
大型倒産の抑制にはなっているものの、零細企業にとっては政府の金融支援策の恩恵がまだまだ行き渡っていないのです。
くしくも今日18日、改定貸金業法が施行されましたが、運転資金を貸金業者に依存する零細企業は多く、今後の資金調達、資金繰りに困惑し、倒産に追い込まれることが予想されます。
ぜひとも政府にもこの実態を知ってもらいたい、また知らせる努力をしなければなりません。
セントラル総合研究所では、この実態を受け止め支援者とともに勉強会を開催します。今後どうすれば生き残れるのか実例をもとに学習していきましょう。
[2010.6.18]
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