「中小企業のための金融」はどこへ消えたのか
「債務者の気持ちが分かる金融が必要だ」。との設立構想から出発した日本振興銀行は、当初中小企業やベンチャー企業への融資に特化した、新しいタイプの銀行のビジネスモデルを作るはずでしたが、その理想はどこへ消えてしまったのでしょう。
日本振興銀行は、4ヶ月の業務停止命令に次いで、銀行法違反(検査忌避)容疑で警視庁の強制捜査を受けました。
企業、とりわけ日本経済の根幹を形成している中小企業向け金融は、債権買取や大口の融資優先による銀行側の利益追求に傾き、法令違反も辞さない経営に変質してしまいました。
大手行から融資を受けられない中小企業に高めの金利で融資していくビジネスモデルとなるはずでしたが、どうやら理想は高く掲げたものの、運営していくノウハウが足りず、利益が取れなかったようです。
債務者の気持ちがわかる金融は切望されているが、崇高な理想も現実の前ではなし崩しとなってしまいました。
中小企業に活力を戻すということは、一筋縄ではいかないものです。
近年では、金融円滑化法案の施行などをはじめとして、政治家や官僚、金融機関に動きが出てきたことは喜ばしいことですが、まだまだあてになりません。私達のような事業再生を手がける者にとっては事業継続の「伴走者」が経営者にはやっぱり必要なのです。
今後の動きに期待しましょう。
[2010.6.15]
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