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サラ金業者1年で4割の2,056社が廃業/武富士過払い返還:推定200万人に2兆円

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借りられない貸せない貸金業者、1年で4割弱減少
日本貸金業協会が2月15日発表した「月次統計資料(2月公表分)」によると、昨年12月の消費者金融とカード会社44社の消費者向け無担保貸付残高が、7兆1,433億7,900万円と前年同月から2兆1、177億7,900万円減少したとありました。昨年6月の改正貸金業法の完全施行によって借入上限が年収の1/3となった総量規制により、返済可能な事業主までもが借入れできなくなったことが大きく影響しています。また、従来は手軽に利用した主婦など、配偶者の同意や収入証明などが必要となり、借入を自粛したことも減少の要因に上げられます。一方、貸し手も金利に見合う審査を行うなど借り手を絞らずにはいかず、契約できない事情もあるようです。中には、利益を生み出すビジネスとしての貸金業に疑問を持ち、自ら看板を下ろす貸金業者もいたようです。
金融庁が公表した昨年12月末時点の貸金業登録業者数は2,318社と減少しました。昨年1月の4,374社から毎月右肩下がりで貸金業者は減少を続け38.8%減となりました。

最高裁判決で一気に過払い返還金請求が加速
貸金業界は、総量規制や上限金利枠の低減、さらに過去にとりすぎた金利分を利用者へ返す過払い返還金によって業界縮小の一途を辿り、まるで国のいじめとも言える法令に耐えているようにも見えます。過払い返還金は、平成18年1月13日の最高裁判決で、利息制限法で定めた金利を超える利息を借り手に請求する権利のある「みなし弁済」を認めないという判決によって一気に請求が加速しました。その後の下級審では、この最高裁の判決によって100%「見なし弁済」が認められずに過払い返還金の請求は増え、貸金業者の経営を圧迫してきました。昨年6月の改正貸金業法で上限金利は、貸付額に応じて15%~20%となりました。出資法でも20%が上限とされていますが、改正前までは29.2%で、この間の金利がいわゆるグレーゾーン金利と呼ばれ過払い返還金の対象となっています。刑事罰とならない数年前のグレーゾーン金利が、一気に請求されれば貸金業を継続する意欲も一気になくしてしまうでしょう。日本貸金業協会の「月次統計資料」によると、昨年12月の過払い金返還金は、435億6,300万円と前年同月比11.7%増だったとあります。

過払い返還金請求、33万人が届け出!/推定200万人で2兆円110219_1.jpg
過払い返還金の負担で昨年9月、経営難に陥り、会社更生法の適用を認められた「武富士」は、過払い返還金請求期限が2月28日に迫っていますが、1月末時点で約33万人しか過払い返還金請求の届け出を出していないと報道がありました。弁護士らで構成する「武富士の責任を追及する全国会議」では、潜在的な過払い返還金対象者は、推定200万人で返還額は約2兆円としています。
 
DM135万通、電話勧誘40万件、TVCF
武富士では、過払い返還金がある可能性がある利用者へDM135万通を送付、電話連絡を約40万件行い、テレビコマーシャルなどでも、利用者からの連絡を呼びかけています。利用者の中には、過払い返還金があることも知らず、まだ借入があると思い込み振込を続けてると言います。過払い返還金の有無を調べるには、武富士や同社と提携しているATM(現金自動受払機)で、取引画面、や取引明細書を確認するのが早いと言います。昨年11月からATMで全利用者の引き直し計算を行い借入残高から過払い返還金を差し引いた額を表示。過払い金がある場合は、コールセンターへ連絡するよう促されると言います。
 
武富士コールセンター:0120-938-685、0120-390-302

地方自治体:滞納する税金に過払い返還金充当
プロミス、アコム、アイフルの消費者金融大手3社でも、武富士の影響から過払い返還金の請求が急増し、経営不振状態が続いていると報じています。平成22年4月から10月までの、3社に対する過払い返還金の合計額は2,066億円と、過去最高だった平成21年度の2,600億円に迫る勢いと言います。プロミスやアコムはメガバンクの傘下となり、今後の資金支援や人的支援などメガバンクでは検討に入っているようです。
貸金業会は、借り手、貸し手が逆の立場となって一段と縮小傾向に向かっています。両者とも数年前までは、「思わぬカネ」のことなど、誰も予測がつかなかったことでしょう。たった1件の判決、1件の改正法案で業界を再編不可能とさせてしまったのです。
 
過払い金返還請求で地方税納付!
この「思わぬカネ」を納税に充てると言う動きが地方自治体に広がっているようです。地方自治体ではバブル崩壊後、住民税や健康保険税などの徴収率が低下し、財政難状態が長く続き、過払い返還金はある意味「埋蔵金」にも見えるのでしょう。「そこまでやるか」との声もでるほど、過払い返還金を滞納した税金に充てると言うウルトラC技に徴収率も上がっていると言います。貸金業者も、利用者も、そして自治体も財政難の時代です。
偏っている利用者保護は巡り巡って結果的には資金需要者の利用者を苦しめるのです。今国会には間に合わないものの、あらたな法案、少なくても期限や納税の優遇措置が欲しいところです。

[2011.2.19]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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