金融庁:農家も金融円滑化法対象に/アグフレーションで食糧危機/鳥インフルエンザ追打ち
猛暑で国産野菜品薄価格高騰
「30年に1度」昨年のとも言われた猛暑の影響による国産野菜の価格高騰騒動から半年、事態はますます深刻化しています。農産物の国際価格が急騰し、日本国内でも、食料品をはじめとした農産物の価格が上昇し始めているのです。農産物価格の持続的上昇と聞いて記憶に新しいのは、2008年、バイオ燃料の原料となるトウモロコシや大豆などの穀物価格の急騰です。この時は「バイオ燃料」という言葉にも新しさを感じましたが、それ以上に「アグリカルチャー(農業)」と「インフレーション(物価の持続的上昇)」から「アグフレーション」という造語が生まれたことが印象的でした。
国連食糧農業機関:急激なアグフレーション、上昇止まらず
今回のアグフレーションは前回のそれをも凌ぐ上昇率と広がりを持つと言われます。今回も、トウモロコシは2倍、小麦9割高、大豆5割高となっていますが、更に昨年末から相次いで値上げされているのはコーヒーや食用油、砂糖など。アグフレーションは農産物全体に及んでいるのです。国連食糧農業機関によると、穀物や乳製品などの国際価格を指数化した主要食料価格指数は昨年12月に214.7ポイントと半年間で32%も上昇。2008年6月(213.5ポイント)を2年半ぶりに上回り、過去最高を更新しました。小麦、大豆などの穀物は2008年に記録された史上最高値に迫り、約30年ぶりの高値となった砂糖などが指数全体を押し上げています。指数に組み込まれていないコーヒー豆も、歴史的な高値圏にあります。
原因:多岐にわたる、気候、新興国需要、投機マネーの流入
この原因は、新興国での需要の急拡大により世界的な需給バランスが崩れていることに加え、金融緩和で市場にあふれた資金が商品市場に流れ込むなど、投機的な要因も見られます。現在のような消費不況の中では、原材料価格の上昇分を商品価格へ転嫁することは難しいと見られていましたが、各食品の店頭値上げも「企業努力」では抑えきれないところまできてしまいました。家計に加え、食料品業界全体で企業業績への影響も懸念されることとなります。
追打ち/鳥インフルエンザ!
国内養鶏場での鳥インフルエンザの被害拡大も深刻化しています。これを受けて、金融庁は28日、鳥インフルエンザで被害を受けた農家などから金融機関に返済条件変更の申し込みがあった場合、できる限り応じるよう金融機関に要請しました。中小企業金融円滑化法の対象に農家が含まれることに留意するよう求めています。「安心・安全なものを消費者へ届けたい」という食料品供給に携わる農業従事者が共通して抱いている思いを、行政が支えていかなければなりません。このままでは、すぐに解決が不可能な多岐にわたる原因でアグフレーションが進んでしまいます。政府は省庁の垣根を越えて早急な対策をしてもらいたいものです。
[2011.2.2]
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