経産省:緊急保証3月以後も継続、100%保証48業種に限定!政府支援策で浮沈する中小
中小企業業況調査:7期ぶり、主要3、DI指数全てが悪化
全国商工会連合会(東京都港区新橋2−16−1 会長:石澤義文)が1月20日発表した「平成22年10月~12月期中小企業景況調査」によると、全産業ベースのDI(景気動向指数・前年同期比)が売上高がマイナス35.3ポイント(前期比3.9ポイント低下)となったと発表がありました。採算(経常利益)でもマイナス38.5ポイント(同1.3ポイント低下)。資金繰りもマイナス27.9ポイント(同1.3ポイント低下)と平成22年1月~3月期を底に上昇傾向にあった主要3DIでしたが7期ぶりにマイナスに転じました。
昨年の同時期には、エコカー減税は継続されているもののエコカー補助金が終了期間前に終了。家電エコポイントの対象縮小など、政府の経済支援終了などでの影響で中小企業の業況を悪化させました。業種別で見ても小売・サービス業の悪化が目立ち、「輸送用機械器具製造業」や公共事業の削減による「建設業」も大きく低下しています。薄日が差してきた産業もあるなか、調査では全産業17種のうち6産業で主要3DIが悪化しました。
景気対策緊急保証/48業種で100%保証を継続
海江田経済産業相は1月28日、中小企業の厳しい資金繰りの支援策として3月に終了する民間融資の全額保証精度を、製造業など48種で継続すると発表しました。政府では、原則全業種を対象とした100%緊急保証精度を3月で打ち切ることを決定していましたが、長引く円高、国内市場縮小で業況の回復が遅れる48業種を対象に継続を決めたようです。4月以降の融資では信用保証協会は80%保証になるところ、100%保証の継続で、金融機関などもリスクなく中小企業への資金繰り支援が行われるでしょう。海江田経済産業相は「見直しがあまり急激ではいけない。今回の条件緩和とは別に小口の保証制度もあるので、それらの制度の利用を促しながら中小企業の資金繰りに今後も万全を期したい」と伝えています。
中小企業庁では、複数の約定を1本化し返済を長期化にする「借換え保証精度」を拡充。中小企業の毎月の負担軽減を図る支援策を昨年11月に発表。中小企業が利用しやすいしくみで拡充を図ってもらいたいところです。
▼関連記事:中小企業庁「セーフティネット保証の指定業種について」
海外進出か転業か/自ら成長する力
信用保証協会の100%保証や借換保証、中小企業金融円滑化(モラトリアム)法など政府の支援は、デフレ下の中小企業にとっては欠かせない制度です。この支援に甘えることなく、中小企業は攻めの経営体制へ改善。アジア市場の開拓、新成長戦略産業への参入、転業など改革が急がれます。
大畠前経済産業省相は、年頭の所感で国を挙げて中小企業の海外展開を支援すると発表しています。平成23年は売上げの源泉を海外に求め、中小企業に対して海外進出支援、金融支援、人材育成支援、技術改廃初支援を行うとしています。政府の金融政策で時間に余裕のある今、新しい市場参入や新事業への参入、転業への計画を立て、実行に移す時です。内需型産業では、家電、住宅エコポイントの延長や政府の新成長戦略である観光産業、住宅・リフォーム産業への新しい支援も報道で見られます。こうした政府や自治体、関係団体による政策、支援のもと、一歩踏み出さなければ生き残りは図れません。
金融支援戸惑い:金融機関の困惑、企業は仕事をくれ
政府の金融支援によって現場では戸惑いとも見える報道が見られます。金融機関では、「どこまで中小を支援すればいいのか」など、リスケジュールや100%緊急保証などの現場の対応に困惑した様子も見られます。当の中小企業でも「もう融資はいらないから仕事をくれ」などの声が上がっています。新しい融資で事業継続しても、企業の体質が変らなければ最悪の事態の先送りに過ぎません。とくに国内をターゲットにした内需型産業では、需要と供給のバランスがとれずに資金繰りを悪化させているケースが見受けられます。
甘やかすのではなく育てる/支援、政策、産業に過保護気味!
TPP(環太平洋経済連携協定)参加問題では「日本の農業は守られて甘やかされた」と競争力のない農業への厳しい声あります。今、日本の産業を支える中小企業は、農業と同じように政府に守られ甘やかされようとしています。次の時代への一歩を踏み出し、国際的にも競争力のある強い中小企業へと自ら変革してもらいたいものです。
[2011.1.31]
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