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JAXA宇宙ステーション開放:HTV2「こうのとり」コスト削減で海外受注を見込む

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引退するスペースシャトルに代わる大役
ISS(International Space Station:国際宇宙ステーション)へ物資を届ける無人補給機「HTV2(H-II Transfer Vehicle:こうのとり2号機)」は、1月22日、種子島宇宙 センターから無事打ち上げられました。HTV2は、ISSに常駐する6名の宇宙飛行士へ生活物資を運搬。種子島の水80リットルや、日用品の他、NASA(米航空宇宙局)から依頼された機器の予備品5.3トン分をISSへ運ぶなど、今年6月に引退する米国スペースシャトルに変わる輸送機として国際的に期待が寄せられています。
JAXA(宇宙航空研究開発機構)では、H2Bロケットは正常に飛行し、打ち上げ後15分13秒にHTV2を分離したことを確認と発表がありました。28日のISSとのドッキングに向けて地球回軌道を順調に飛行しています。JAXAのHTV2ミッションは、ISSへの物資の補給の実施とISSで不要となった物資を積み込み、HTV2の機体とともに大気圏に突入し、廃棄することになっています。宇宙での大切な役目を果たし、自らも廃棄処分となる昨年の小惑星探査機「はやぶさ」同様の運命はせつなさが残ります。

95%の高い打ち上げ成功率を誇る/営業の武器に
HTV2を打ち上げた主力のロケットH2Bの成功は、日本のロケットの打ち上げで14回連続成功となり、成功率は95%と欧州の主力ロケット「アリアン5」を上回ります。H2Bは過去打ち上げた衛星、探査機のなかでも最も重いHTV2をISSへ運ぶ目的でJAXAと三菱重工業が共同で開発しました。H2Bの特徴では複数の衛星を同時に打ち上げられるため、打ち上げ費用のコスト減が期待できるようです。高い成功率とコスト減で、平成23年度には、韓国の航空宇宙研究院から商業衛星の打ち上げを日本は受注しました。さらに打ち上げを行う種子島宇宙センターでは、周辺の漁協との調整で、年間190日に限られていた打ち上げ期間も23年度には撤廃されるとのことで、海外からの幅の広い商業衛星打ち上げ受注には追い風です。政府やJAXA、民間の大企業でアジアを中心に衛星打ち上げ事業の受注に、積極的な営業をお願いしたいところです。

アジア諸国連携で専用の宇宙ステーション構想
政府はISSに構える日本の宇宙実験施設「きぼう」を、韓国などアジア各国の研究開発に無償で解放すると報道がありました。宇宙実験施設は、米国、ロシア、日本など15ケ国が参加し運営していますがアジアでは日本が唯一となっています。韓国の複数のメディアでは、日本の宇宙実験施設開放の報道に「アジア各国の航空宇宙産業を支援し、関連の需要を活発にしている」と伝えています。衛星を打ち上げを日本に委託し、アジアだけの宇宙ステーション開発も、もう夢ではありません。
JAXAと韓国の航空宇宙研究院は平成25年、生命工学や材料分野で連携し韓国の試験機材を打ち上げるとしています。韓国では、自立化のための技術開発を本格的に進め、宇宙大国参入を図らなければならないと国内では声が上がっているようです。一方中国でも、アジア近隣諸国の宇宙開発に弾みがついているとし、緻密かつ急速な宇宙開発を推進していると韓国メディアが伝えています。

コンピューター技術が1/100ミリなら職人は1/1,000ミリに!
宇宙開発に欠かせないものに最先端技術があります。昨年世界初、小惑星「イトカワ」から物資を持ち帰った探査機「はやぶさ」のカプセル製作の技術に「職人の勘も大事」と報道がありました。株式会社IHIエアロスペース(東京都江東区豊洲3-1-1代表取締役社長:石井潔)の群馬県富岡市にある工場でカプセルを組み立てた職人、益田克之氏が紹介されていました。益田氏は、「コンピューターで設計された図面は正確だが、実際の製作時には数値に表せない"直感"が大事なことも少なくない」と言います。「図面が1/100ミリを要求するなら、1/1,000ミリの精度にこだわるのが職人」と伝えています。図面にはないネジの締め方ひとつでも、カプセルが落下時に割れたり、パラシュートが開かないなどあるといいます。図面、マニュアルでは想定できないことが製作の現場にはあるようです。
日本の技術は、何度もミスを繰り返しながら考え、研究し、成功へ結びつけ最先端とまで言われるようになりました。アジア各国で宇宙開発に弾みがついてアジア一、世界一を目指しアジア各国の技術競争が活発になるでしょう。どの産業においても競争がなければ技術など進歩はありません。世界の技術競争を勝ち抜き「技術の日本」を取り戻し、産業を発展させたいものです。

[2011.1.28]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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