TPP参加、中小経営者賛成8割超!農業・産業一体で市場拡大・輸出支援
海江田経産相:6月の決定を早めたい
内閣改造で着任したばかりの海江田経済産業相は、1月18日の会見で政府が6月をめどに参加検討しているTPP(環太平洋経済連携協定)について、「日本経済を安定的に成長させるためには、アジア太平洋地域の成長と結びつく高度な連携は不可欠だ」とコメントし、参加の意欲を強く表しました。国内産業は、円高、少子高齢化でこの先20年を見据えれば先細り、アジア太平洋圏が経済成長の中心となると指摘しています。
TPPは、高いレベルでの経済連携によってアジア太平洋圏の障壁を抑え、「ヒト、モノ、カネ」の動きを活発にさせる協定。海江田経済産業相は17日、日本貿易会(槍田松瑩会長)の幹部らと懇談。出席した同会副会長の丸紅・朝田社長は、TPPへの交渉参加の時期について経済産業省側から「(政府が目指している)6月を早めたいとの意見があった」とコメントしたものの、同相は発言を「していない」と慎重な姿勢だったとの報道がありました。
輸出含め販売量/例えば精米は3年で2倍!
丸紅と全国農業協同組合連合会(JA全農)は1月17日、日本の米の国内での流通・販売や輸出拡大に向けて戦略提携すると発表がありました。TPPが締結されれば非関税で参加国から安い米が輸入され、国内での米の販売に影響が及びます。丸紅では取引関係が深いスーパーなどの販売ルートでJA全農が集荷、精米した米を流通させます。また付加価値の高い日本の米を中国などアジア新興国の富裕層向けに丸紅の海外流通網を利用し輸出する方針で、シンガポールや欧州へも視野に入れているようです。
丸紅は、JA全農が自前の拠点で精米、販売している約80万トンの米を、3年後には150万トンまで増やすとしています。
TPP参加によって関税がなくなり、国内に安い米の流通が予測される中、それ以上の量の高品質、おいしい日本米を海外で販売し、日本食ブームを引き起こしてもらいたいものです。
参加賛成は83%/反対する理由:農業の衰退63%
産業能率大学が中小企業経営者688人に行った「2011年経営方針と採用方針に関する調査」によると、83.3%の経営者がTPPに「日本は参加すべき」と回答したと報道されました。調査は、従業員6人以上300人以下の経営者を対象に昨年11月26日から12月まで行ない、今年1月14日発表されました。TPPへ参加すべきとする理由で最も多いのが「国際競争力が高まる」が63.5%で、「日本が孤立してしまう」が35.3%、「日本の産業空洞化を防げる」が30.9%と中小企業でもグローバル化の大波は避けられない傾向のようです。一方、TPP参加に反対する理由では、「農業の衰退」が63.5%となっていました。日本の産業と農業とのバランスが重要なところです。
抵抗する農業団体、産業界との会合で解決
経済産業省では、農業の競争力強化策を検討する「農業産業化支援ワーキンググループ」の会合を開いており、これまでの方向性として、市場で売れる農産品の開拓や大消費地へのコスト引き下げ、生産コストの引下げ、輸出拡大の具体策など4本柱で関係団体と意見を交わしています。
1月12日の会合では、TPPを推進する日本経団連や日本商工会議所の幹部も参加し、米の消費拡大、農産品の拡販など、各団体からも具体案が出されたようです。地方経済産業局の幹部は、地域で農業の産業戦略が成功した具体例なども紹介され、反発する農業団体と攻防が行われています。農家では、高齢化が進み、若者の就農促進や農地法の再改正、政府の支援など期待も大きいでしょう。TPP参加は、問題となる課題をいち早く解決し、若く強い攻めの農業へと変わりたいものです。
●関連記事:オフィシャルサイト「TPPで日本の農漁業が変わる第6次産業」
[2011.1.21]
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