全銀協:預金564兆、貸出416兆/経産省:エコ補助金で95,000人雇用
実質貯金-貸出残高=150兆円/10年で60兆円減
全国銀行協会が1月11日発表した「全国銀行預金・貸出金速報」によると、平成22年12月末、全国のゆうちょ銀行を除く都銀、地銀、信託銀行の実質預金残高が前年同月比1.5%増の564兆6,358億円となったことがわかりました。貸出残高は416兆4,288億円で預金残高との差額は過去最大の約150兆円となっています。長引く不況に企業の資金需要、投資意欲は薄れ、企業は手元資金を確保する傾向が続いているようです。中小企業向けの貸出残高は約171兆円と、10年で約60兆円減少しました。
日銀では、「金融危機の影響で前年に企業の資金需要が高まった反動に加え、企業の設備投資意欲が回復せず、資金需要が低調だったことが原因」としています。都銀、地銀とも企業向けの融資は資金需要の低迷で厳しいようですが、住宅ローンや地方自治体向けの融資は伸びているようです。
1,100億円の補助金で5,300億円の設備投資/95,000人の雇用
経済産業省は、昨年12月27日、新成長産業に掲げる環境エコロジー事業の国内投資を対象とした「低炭素型雇用創出産業立地推進事業」で、補助金対象となる153事業を発表。設備投資の総額は約5,300億円でこのうち1,100億円を国が補助するといいます。この事業によって政府では、すそ野産業も含め、95,000人の雇用を創出するとしています。補助金の対象となる事業は、HV(ハイブリット車)やEV(電気自動車)、リチウムイオン電池、LED(発光ダイオード)など、今後も市場拡大が見込まれる事業で、企業への投資を促しています。電機や自動車産業など大企業が応募しているようですが、関連する中小企業へも受注の期待が高まります。
300億円の補助金で1400億円の設備投資/17,500人の雇用
経済産業省では、雇用の創出効果や技術力の高さなどを基準に企業を絞り込み、今年度予算の予備費から拠出するとしています。経済産業省では、前回、300億円の補助金拠出では、1,400億円の設備投資を呼び込み、と17,500人の雇用を生み出していため、期待も高まるでしょう。
アジアに投資「増える」32%、「前年比増」46%
報道によると、昨年11月下旬から12月中旬にかけて主要企業110社にアジアへの投資に関してのアンケートでは、前年度に比べ投資が「増える」と答えた企業が32%に上っています。主要企業は円高、少子高齢化で萎む国内から成長著しいアジアへのシフトが今年も加速しそうです。平成22年度、アジアでの売上高については「前年度比増」と答えた企業は46%で「前年度比減」はわずか3%に過ぎませんでした。手元資金が増えた電機、自動車産業などでは為替差損を避けるためにさらにアジア新興国へシフトする姿勢が鮮明になっています。
金融機関や企業に資金が滞り、市中に資金が回らず海外への投資だけが増える構図に、政府支援のエコや技術支援補助金などを活用し、製造業など国内での設備投資に期待したいところです。
サムスン、平成23年設備投資3兆1,500億円と発表
内閣府が1月12日公表した「景気ウォッチャー調査」によると、昨年12月の現状判断DI(Diffusion Index:景気動向指数)は45.1と1.5ポイント上昇。DIは、水準の50を割り込んでいるものの2ケ月連続して上昇しました。内閣府では、家電エコポイントの変更で販売に落ち込みが見られるもののクリスマスや年末商戦の動きが影響。また企業では、原材料価格の上昇や受注価格の下落が見られましたが、機械周りでの動きなどの影響で上昇したと見ているようです。
韓国のサムスングループは、平成23年の設備投資や研究開発費など総投資額を過去最大、43兆1,000億ウォン(約3兆1,500億円)とすると発表がありました。平成5年、量的成長から質的成長へ戦略を変更し、政府支援のもと急成長を遂げ韓国最大の財閥となりました。日本の企業も金融支援によってアジアなど海外で発展を遂げ、その恩恵を国内の中小企業へももたらせ、国内市場の産業に活況を取り戻してもらいたいものです。
[2011.1.17]
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