リニアで国内建設活況へ!世界市場は韓国に追撃危機、官民一体で受注へ
リニア:総工費9兆円の世紀の掘削土木・建設工事
今年度、国内建設投資がピーク時の半分、約40兆円に減少した建設・土木産業に昨年12月、世紀の大工事といわれるリニア中央新幹線の南アルプスルートが決まりました。平成26年着工、39年開業に向け、大手ゼネコンの総建設費5兆4,000億円の争奪戦が始まります。中央新幹線は東京と名古屋、286kmを一直線で結び約7割がトンネルで占められ、最深部は地表から1,400mに達するため、技術が問われる建設となりそうです。ルートは3,000m級の高峰が連なる南アルプスを貫通するだけでなく、用地買収を極力抑えるため、大半が大深度の地下を通ると言います。平成57年には大阪までレールを伸ばし、総工費は9兆円を超えるようです。
着工は3年先となりますが、ゼネコン各社受注に向け最先端の掘削技術を売り込んでいるようで、工事の短縮とコスト削減が受注の鍵となるようです。
国土交通省:「建設産業戦略会議」6月をめどに法整備
日本のトンネル掘削技術は世界レベルにあり、過去、北アルプスを貫く黒部ダムの関電トンネルや本州と北海道を結ぶ青函トンネルなどを成功させています。この実績は、国内市場が縮小するなか、海外での受注に大きな活路を見出してくれるでしょう。リニアモーターカーの技術にトンネル掘削技術で海外市場へ政府とゼネコン一丸となって売り込みたいものです。
建設業界はすそのが広く、設備工事業、鉄鋼業、輸送業など幅広く波及効果をもたらせてくれます。バブル崩壊後、公共事業拡大で産業は盛り上がったものですが、近年は不況による民間の設備投資も激減と厳しい状況が続いています。国土交通省では、建設業の再生と発展に向けた「建設産業戦略会議」を昨年12月に設置し、今年3月末までに具体的な政策を策定し、6月をめどに法整備を行うとしています。
前年比-8.8%/国内過去最低の建設工事受注
国土交通省が発表した平成22年度上半期(4月~9月)の建設工事受注は、前年同期比8.8%減の4兆3,138億円となり、統計を始めた昭和60年度以降過去最低となりました。前年実績を下回るのは2年連続で、海外での受注も同比9.9%減の2,151億円と壊滅状態となりました。
高い土木建設技術を海外に!/モンゴル
国土交通省、外務省、日系ゼネコンは1月12日、日本の道路舗装技術の売り込みにモンゴルで「日本・モンゴル建設会議」を開き、道路舗装の最新技術などをモンゴル側に提案。モンゴル側は当面の道路計画などを説明したと報道がありました。モンゴルではレアメタル鉱山の開発や都市化による道路の整備で道路舗装の需要が高まっています。会議では日本の道路舗装技術やコストなどについてモンゴルの道路庁幹部と意見交換を行ったようです。
海外工事受注高/韓国に抜かれたか
国土交通省では、東南アジア諸国で同様の会議を開催しており、建設業受注に向け日本の建設技術を売り込んでいます。モンゴルでの開催は今回が初のようで、受注に向け営業体として何度も出向いてもらいたいものです。
韓国では、国土海洋部が平成26年に海外建設受注1,000億ドル(約8兆円)達成で世界5位入りを目指すと発表。
米建設総合情報誌ENR(Engineering News Record:エンジニアリング・ニューズ・レコード)によると、平成21年、韓国の世界市場での受注実績はシェア4.3%の491億ドルで世界9位でした。1位は中国のシェア13.2%、次いで米国の13.0%で日本は7位で4.6%となりました。韓国は前年以降15位前後でしたが今年は初のベスト10入りを果たし、平成22年は700億ドルを上回ると見られ、ランクアップが予測されます。
相次いで抜かれる日本!危機感感じる/官民一体での受注の必要
電機や自動車産業に次いで建設までも韓国に追撃されている日本。一時期は「日本株式会社」とまでいわれた海外受注は、低迷の一途をたどっています。これを機会に国と民間企業、一体となって本気で受注していかなければ、日本はまたしても世界から取り残されます。新興国、東南アジアや中東まで足を伸ばし、幅広い営業で受注にこぎつけ高い建設技術を役立ててもらいたいものです。
[2011.1.15]
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