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事業再構築の計画策定に必要なのは? 経験者の知見と「デューデリジェンス」

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「2022年度版 中小企業白書」のなかに中小企業の現状を読む
4月26日に閣議決定した「2022年度版 中小企業白書」では、コロナ禍で大幅に落ち込んだ中小企業の売上高と経常利益は緩やかに回復しているものの、中小企業向けの貸出残高は増加していると分析しています。
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また、借入金の返済猶予について「中小企業再生支援協議会」〔※注〕への相談件数が、2020年4月1日に「新型コロナウイルス感染症特例リスケジュール実施要領」が制定されたあとに増加しています。その後、減少していましたが、ここ1年ほどは一定数の企業が相談窓口を訪れています。

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〔※注〕2022年4月1日、経済産業省は「中小企業再生支援協議会」と「経営改善支援センター」を統合して「中小企業活性化協議会」と名称を改め、全国47都道府県に設置しました。

これらの数字には、コロナ禍が長引くほど借入金を返済する力が弱くなっていく中小企業の苦境が表れています。

2022年3月策定の「中小企業活性化パッケージ」の骨子は、「コロナ資金繰り支援の継続」と「収益力改善・事業再生・再チャレンジの促進」の2本立てです。そのひとつ、「コロナ資金繰り支援の継続」は、借金が膨らむ一方の中小企業の経営状態をこれ以上悪化させないための方策です。

しかし、資金繰り支援に頼ってリスケジュールを繰り返すばかりでは、すでに経営が悪化してしまった中小企業の多くは持ちこたえられません。

ポストコロナを見据えた支援にシフトした日本政府
「中小企業活性化パッケージ」のもうひとつの柱、「収益力改善・事業再生・再チャレンジの促進」は、人材投資や設備投資を行なう余力の乏しい中小企業が事業再構築を図るための総合的な支援策です。

関連施策の筆頭に「認定経営革新等支援機関の伴走支援の強化」が置かれていることにも、特例のリスケジュール支援からポストコロナを見据えた経営改善支援にシフトさせたいとする政府の意図が強く打ち出されているのを感じます。なぜなら事業再構築には計画策定が必須であり、そして、計画策定には専門家の助けが必要だからです。

事業計画策定に必要な「デューデリジェンス」
とはいえ、そもそも経営が順調な会社が「BCP(事業継続計画)」を策定するのも簡単なことではありません。BCPを策定していない企業にその理由を聞いたところ、41.9%が「策定に必要なスキル・ノウハウがないから」と答えています(2021年6月、帝国データバンク調べ)。

ちなみに会社再建計画の場合には、私たちは顧問契約を結んだ企業に関して次のような項目を精査します。

・所有する動産、不動産資産の実勢価格。不動産鑑定によって算出した評価
・担保の設定状況
・無担保債務の状況
・簿外債務の状況(経営者本人、あるいは親族からの借入など)
・部門ごとの事業内容と、それぞれの将来性
・経理内容、受取手形の振り出し状況
・当座預金の利用内容
・経営陣の力量。複数の決裁権限者がいる場合には、その関係性
・経営者の個人資産の状況。家庭内事情。家庭外事情
・連帯保証人の有無と、その資産状況
・債務総額と、その返済状況
・貸し手責任など金融機関の問題
・納税状況。または延滞状況
・事業承継の課題。後継者の有無
・ビジネスモデル。事業の将来性

こうして多岐にわたる内容をすべて把握してはじめて、どうやって会社を再生させるかという計画を立てることが可能になるのです。

このように、「顧問先の会社をさまざまな角度から詳しく精査すること」を「デューデリジェンス」と呼びます。もちろん、事業再構築の計画を策定して金融機関と交渉のテーブルにつく前にも、最低限のデューデリジェンスが必要です。

企業が生き残るためには、常にビジネスモデルをアップデートしていかなくてはならないのは言うまでもありません。しかし、資金繰り支援を受けながら長期的な事業計画を立てなさいと言われても、中小企業の経営者には荷が重いことでしょう。

今なら相談窓口は各都道府県に設けられていますし、計画策定の費用支援も整備されています。まずは専門家に相談して、彼らの知見と励ましを味方につけてください。ただし、専門家には金融機関出身で事業経営を知らない方もいます。相性のいい方を探して力を借りるためには、思いをぶつけることも必要です。

[2022.4.28]

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セントラル総合研究所
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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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