企業物価指数が記録的な高水準!価格転嫁が難しい中小企業にしわ寄せ
企業物価指数が36年ぶりの高水準
2月10日、日銀が公表した企業物価指数の1月の速報値は109.5で、36年4ヶ月ぶりの記録的に高い水準となりました(2015年の平均を100とする)。
前年同月比で上昇したのは744品目のうち492品目で、全体の66%に及びます。消費税増税の影響があった時期を除くと2015年以降、最も多くなりました。原材料から中間財・消費財へ、値上がり品目の幅が広がっているのです。
終わりの見えない原材料価格の上昇
企業物価指数は企業間で取引きされるモノの価格の動向を示します。これが高水準で上昇している背景には、まず石油・石炭製品などの資源価格の上昇があります。そして、脱炭素やウクライナ情勢の悪化で供給懸念は根強く、当面のあいだ資源価格の上昇傾向はおさまりそうにありません。
石油関連だけでなく木材・木製品、大豆・小麦・トウモロコシなどの食料品関連、電力・都市ガス・水道の料金なども値上がりしています。さらに円安が輸入品の価格上昇に拍車をかけています。
消費者物価にも影響が出てきました。食料品や日用品の値上げはすでに始まっていますし、電気・ガス料金の値上げも予定されています。このままいくと今年後半には消費者物価は上振れすることになるでしょう。
中小企業の取引環境の整備が急務
これまで値上げに慎重だった企業も、もはや原材料高を販売価格に価格転嫁せざるを得ない状況に陥っています。しかし、コロナ禍で落ち込んだ個人消費はまだ本格的に回復してきたとは言えず、価格転嫁しづらいのが現状です。
特に中小企業は取引価格を上げることが難しく、コスト高が企業収益をダイレクトに圧迫してしまいます。経済産業省の調査(2月10日公表)によると、およそ2割の中小企業がコスト増加分を取引価格に全く転嫁できていませんでした。
最もしわ寄せを受けているのは、価格転嫁が遅れているトラック運送業や印刷業です。もともと価格競争が激しい小売業も簡単に値上げに踏み切ることはできません。
山際経済再生担当大臣は、2月13日のNHK「日曜討論」で、中小企業が価格転嫁しやすいよう対策に取り組むという考えを示しました。日本経済にとって、国内企業の99%以上を占める中小企業の経営の安定が非常に重要であることは言うまでもありません。中小企業が適切に取引価格を設定するための環境整備が急務です。
●関連記事:「企業物価指数27ケ月連続上昇中!響く米中貿易戦争、原油高で800品目以上が値上げ」[2019.4.19配信]
[2022.2.15]
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