国内消費の主役は高齢者へ!スーパー客数・売上が給与日から年金支給日へシフト
年金支給額、10年で21兆円増加
メディアによる全国のスーパー約460店の店舗あたりの来店客数と販売金額の調査によると、平成30年に全国10地域のすべてで偶数月の15日の年金支給日がサラリーマンなど給与支払日を上回ったことが判明しました。
平成29年度には、年金支給額は約55兆円と、この20年で約21兆円も増加しており、個人消費の現場では年金を取り込もうと企業も動き出しています。
年金支給日の偶数月15日、ATMには1.5倍の引き出し
年金支給日の10月15日、東京都江東区のスーパーでは朝早くよりシニア世代が集まり、セブン銀行のATM(Automated Teller Machine:現金自動預け払い機)では、引き出し件数が約300万件と通常日の1.5倍に増加するといいます。
日本の民間企業の多くの給与日は25日で、偶数月の25日から3日間の来店客数を100.0とした場合、15日の年金支給日から3日間を指数化すると平成30年は101.7と10年で1.0ポイント上昇し、全地域で年金支給日が優位となりました。
年金支給日と給与日の差が最も大きかったのは中国地方で105.5と65歳以上の人口比率が3割を超え、年金受給者が多いことが裏付けられます。
スーパーでは年金支給日にシニア層に特典、集客へ
この変化を商機として小売業も様々な施策を打っており、「イオン」では15日に55歳以上が指定クレジットカードで決済すると5%を割引き、「いなげや」も毎月17日にどら焼きを配りシニア層の集客を狙っています。
総務省の家計調査によると、平成20年に世帯主が65歳未満の消費支出額は全体の73%、65歳以上の世帯が27%でしたが、平成30年には差が縮まり65歳未満が63%、65歳以上が37%とシニア層の消費の存在感が高まっています。
サラリーマンの社会保険料率、数年で給与の3割超えに?
サラリーマンなどが加入する健康保険組合では、令和4年度にも医療・介護・年金を合わせた社会保険料率が給与の約3割を超えるとの試算が示されており、勤労世帯において消費に回す余裕が縮小傾向にあり、シニア層の消費が牽引役に変わる可能性も出てきています。
厚生労働省でも10月18日、年金受給年齢をずらすことに伴う年金額の増減額の見直し案も示しており、60歳から受給する場合、65歳より約30%減少する仕組みを24%に引き下げる方針を検討しています。
この案件により、今後、60歳から年金を受給する人が増加する可能性もあり、消費はよりシニア層へ移行する傾向となりそうです。
●関連記事:「金融庁「人生100年」生活資金は自身で賄え!年金に頼らず自助努力しろ?」[2019.6.14配信]
[2019.10.29]
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