経団連会長「終身雇用はもう無理」の衝撃!4割弱が非正規雇用の実態
終身雇用は限界、雇用維持のために事業を残すべきではない
経団連の中西会長(日立製作所:会長)は5月7日、定例会見で終身雇用について「制度疲労を起こしている。終身雇用を前提にすることが限界になっている」と持論を強調。
さらに「雇用維持のために事業を残すべきではない」と経営者に対して新たな事業へ注力するよう訴えました。
同会長は、出身の電気業界での事業展開が進んでると指摘し、従業員の仕事がなくなる現実にいつも直面し、すぐにリストラするわけにはいかず内部転換や外部で働くかどちらかだと強調しています。
これは「終身雇用をこれ以上維持するのは無理」とのことであり、産業界で話題となっています。
終身雇用、40年雇用で人件費3億円
企業にとっては、従業員を65歳まで雇用する事を前提に計算すると、平均年収を社会保険料込みで800万円とし40年間雇用した場合、おおよそ3億円以上の人件費が必要となり、その価値があるか問われる時代です。
3年先、5年先が見通せない今の時代に終身雇用の維持は無理なのか、安倍政権でも年金支給開始年齢のさらなる引き上げを検討中であり、企業へ定年延長を求める状況です。
一方、年功序列については、新卒一括採用の見直しに代表されるように優秀層から見直しが始まる見通しで、自分の希望するスキルを求め企業と交渉をし、流動化されると考えられます。
同じ仕事しながら正規、非正規の収入差
総務省が発表した平成30年の「労働力調査」によると、会社役員や自営業を除く日本の労働者5,596万人のうち、37.9%に当たる2,120万人が契約社員や派遣社員など非正規雇用の労働者です。
当然のように非正規雇用の従業員は、同じ仕事をこなしても正規雇用従業員より年収は低く、子を持つどころか結婚も諦め、節約志向で経済的な余裕が持てないのが実態です。
昭和の高度経済成長期には、国民皆中流層と非正規雇用などの言葉はありませんでしたが、平成に入り昭和を牽引した経営者トップが変わると何も変革もなくグローバル化の進捗で格差が生まれてきました。
企業、非正規雇用は賃金節約のため
厚生労働省の平成26年「就業形態の多様化に関する総合実態調査」によると、従業員5人以上いる事業者が非正規雇用を賄う理由として「賃金節約のため」が38.8%に上りました。
民間や自治体など非正規雇用が増加した背景には、平成15年の小泉政権で打ち出した「集中改革プラン」であり、中心となったのは当時の総務相で現派遣業大手・パソナグループ会長の竹中氏でした。
それまで高度専門職に限定した派遣の職種を製造業まで緩和し、非正規雇用者を激増させました。
その竹中氏は、現在、安倍政権の国家戦略特区の諮問会議の議員として起用されており、これからの雇用構造にどのように影響するか注視されます。
●関連記事:「深刻な人手不足を背景に中小企業の7割が65歳超えを雇用!「働き方改革」に追い風か?」[2019.1.18配信]
[2019.5.14]
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