中小賃上げ企業の割合2年連続で上昇!大企業と中小・非正規社員の賃金格差解消なるか
中小企業の正社員、「不足」は6割に
政府系の金融機関・日本政策金融公庫が2月26日発表した「中小企業の雇用・賃金に関する調査」によると、昨年12月時点で正社員が「不足」と答えた企業は全業種計で60.8%となり、前年から2.8%上昇しました。
業種別では、「運送業」や「建設業」、「情報通信業」の正社員「不足」が目立っています。
昨年12月に正社員を「増加」させた企業の割合は、全体の32.1%ありましたが、「減少」させた企業も19.5%存在しており、前年に比べ「増加」は1.3%上昇、「減少」は0.8%上昇でした。
「増加」した企業の業種別では、やはり「運送業」、「建設業」、「情報通信業」が目立っています。
正社員の給与、「上昇」した企業は6割
一方、昨年12月に正社員の給与水準を前年から「上昇」させた企業は、全体の57.4%に上り、前年から2.9%上昇し、2年連続で「上昇」しています。
「上昇」の要因を見ると「自社の業績が改善」が36.2%と最も多く、「採用が困難」が25.4%と次いでおり、平成31年度についても51.8%の企業が「上昇」すると回答しています。
平成26年以降、安倍政権は異例の賃上げを大企業に要請する「官製春闘」を起こし、毎年約2%台の賃上げを実現しましたが、今年は数値目標を示さず本来の姿に戻った形となっています。
非正規社員の「不足」も4割に
人手不足が深刻化される中、正社員の過不足感を見ると、全業種で「不足」との答えが60.8%となり、平成29年実績に比べ2.8%上昇しています。
また、「適正」と答えた企業は34.5%に留まり、「過剰」は4.7%となっています。
非正規社員の過不足感についても、全業種で「不足」が全体の40.0%となり、「不足」の割合は同0.4%上昇しており、業種別では「宿泊・飲食サービス業」や、「サービス業」、「運送業」が目立っています。
トヨタ自動車労組1.2万円昇給要請、その下請け中小企業は?
大企業の春闘相場を牽引するトヨタ自動車の労働組合は、今春の基本給を一律に上げるベースアップの要求額は明らかにぜず、代わりとして定期昇給などを含む総額1万2,000円を要請しました。
ただ、傘下の自動車部品など中小企業グループの定期昇給はない企業が多く、賃上げ総額でも親会社には及ばないのが実態です。
日本の労働者の約7割が中小企業で働きながら、大企業と中小企業との賃金の格差は広がる状況であり、非正規社員も約4割、2,000万人を超える中、「働き方改革」での生産性向上や、収益を内部保留する企業から労働者への還元も進めなければ、「人手不足」も課題を残したままになると考えられます。
●関連記事:「4年連続!中小企業「賃上げ」約5割!物価上昇を超える賃金アップが必要」[2018.3.7配信]
[2019.3.8]
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