倒産増加への対応か!?倒産手続IT化でスピードアップ・コスト削減
「倒産手続のIT化研究会」を設立
弁護士や大学教授など法律の専門家が11月5日に「倒産手続のIT(Information Technology:情報技術)化研究会」を設立し、初会合が開かれ、東京地裁の裁判官や法務省・内閣府の担当者も議論に参加しました。
同研究会では、民事再生や破産など裁判所が関わる法的整理の手続にインターネットを利用し、手続を容易にしコストダウンを目指すとしています。
現行の倒産手続は、管財人らの負担も大きく、無駄を省くためにはITの活用が有効と示しており、来春までに具体案をまとめ、ルール整備を安倍政権に要請するとしています。
企業の倒産件数は低水準で推移
今年の企業倒産件数は低水準で推移し、4年連続で8,000件台に留まる見通しで、これも中小企業金融円滑化法のリスケジュール(条件変更)終了後も、金融機関が積極的に中小企業などに対応している効果と見られます。
ただ、平成29年度(平成29年4月〜30年3月)のリスケジュール申請数は、80万461件と中小企業全体の2割強にも上っているのが現状です。
今年下半期は、西日本豪雨や大型台風、米中の貿易戦争、原油価格の高騰など不透明さが懸念され、個人消費の落ち込みや原材料・人件費の上昇もあり7月〜9月期のGDP(Gross Domestic Product:国内総生産)は、年換算でマイナス1.2%と2期ぶりのマイナス成長となっています。
人手不足による倒産も懸念されるなか、安倍政権では外国人労働者受け入れに積極姿勢です。
時間も費用もかかり「使い勝手悪い」現行制度
現在の、法的整理での倒産手続では、裁判所の管理下で進められ透明性が高いものの、手続きに多くの時間や費用がかかり、使い勝手が悪いとの指摘もあります。
民事再生法の場合、監督委員を選任し、債権把握のため関係者へ手続開始の事実を郵送し、それぞれの過程でも通知が必要となり、印刷や郵送などで大きな手間、費用がかかります。
平成22年に会社更生法を申請した消費者金融大手の武富士は、債権者約90万人に通知書などの郵送費だけで数億円かかったと言われ、その郵送費分は債権者の弁済総額から差し引かれることになりました。
セキュリティ問題や法改正も課題多く
倒産手続のIT化は、安倍政権でも司法手続のIT化を検討していますが、課題も多いの現状で、債権者集会などインターネット上でのウェブ会議ではセキュリティの安全性や、現行法上で法改正が不可欠な部分もあり、「倒産手続のIT化研究会」には、このような点を見極めてもらうことが重要となります。
リスケジュール申請数は、累計で600万件をも超え、日本の経済の活性化に手続きが使いにくければ グローバル化社会の中で生き残りも厳しくなるのは考えられ、海外IT先進国に遅れを取らないためにも官民で議論を急ぐ必要があります。
●関連記事:「中小・零細企業の「休廃業・解散」件数2万4千件超え!「倒産」企業の2.9倍に!」[2018.2.3配信]
[2018.12.11]
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