IMFが世界経済成長を2年ぶりに下方修正!貿易摩擦の打撃、日本にも影響大
世界成長率3.9%から3.7%へ下方修正
IMF(International Monetary Fund:国際通貨基金)は10月9日、世界経済の成長率の予測を、貿易摩擦のエスカレートや新興国での通貨安、圧力を背景に2年ぶりに下方修正しました。
世界経済見通しで、今年と来年の世界成長率を3ケ月前の3.9%から3.7%に引き下げました。
IMFは、10月11日からインドネシアのバリ島で年次総会を開催し、日本からも日銀の黒田総裁、麻生財務相が出席しました。
世界経済は、平成23年以降最高だった29年並みのペースになるものの、米国の貿易摩擦やブラジルやトルコの弱さが隠れていることを示唆しました。
IMFの目的とは、国への融資や雇用・所得の増大、為替の安定
IMFは、昭和19年7月に米国で連合国国際通貨金融会議で創立が決まり、同会議で調印されたIMF協定によって昭和22年3月より業務を開始した国際機関です。
今年9月末時点のIMF加盟国は189ケ国で、IMFの主な目的は加盟国の為替政策の監視や、著しく収支が悪化した加盟国への融資を通じて国際貿易を促し、加盟国の高水準の雇用と所得の増大、為替の安定など寄与することになっています。
この目的がありながらも米中の関税引き上げ戦争や、イランへの原油輸出規制など、IMFの目的外のことが現実に起こっています。
米国、関税引き上げれば世界のGDP、0.8%低下
IMFでは、貿易戦争が継続すれば、世界の成長率にかなりの打撃になると分析しており、米国が世界的に関税を引き上げれば2020年の世界のGDP(Gross Domestic Product:国内総生産)は0.8%押し下げられると試算。
IMFの予想下方修正は幅も広く米国の関税引き上げと、他国からの報復関税、原油輸出の規制など、サプライチェーンの混乱で日本にも大きな影響が出てきます。
日本の今年の予測成長率は1.1%と7月から0.1ポイント上方修正されましたが、来年は0.2ポイント下方修正され、米国の関税措置が発動されれば1ポイント強悪化する懸念があります。
日本、貿易黒字は50ケ月連続だが黒字幅は2割強減少
財務省が10月9日発表した8月の国際収支統計によると、日本の貿易の状況を示す経常収支は1兆8,384億円の黒字で、黒字は50ケ月連続です。
ただ、黒字幅は前年同月から23.4%も減少しており、要因は米国のイランに対する輸出規制の脅しで、他国の原油産出国では原油価格が上昇。
日本エネルギー経済研究所石油情報センターが10月3日に発表したレギュラーガソリンの全国平均価格は1リットル155.2円と3年10ケ月ぶりに高騰しました。
11月5日には米国はイランに輸出制裁を断言し、ロシアも増産を見送ったことから今後も上昇傾向となる予測です。
●関連記事:「最新世界経済見通し(IMF)成長率3.1%、貿易伸び率0.4%下方修正/英国の成長率1%台」[2016.08.04配信]
[2018.10.16]
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