日銀短観、景況感3期連続悪化!異常気象、原油高、貿易交渉が影響
3期連続悪化、9年半ぶり
日銀は10月1日、9月の全国企業短期経済観測調査(短観)を発表しました。
企業の景況感を表す業況判断DI(Diffusion Index:各種判断を指数化)は、大企業の製造業でプラス19と、前回6月調査のプラス21から悪化し、3四半期連続で悪化が続きました。
3期連続の悪化は、リーマン・ショック後に過去最低を記録した平成21年3月以来9年半ぶりとなりました。
安倍政権も9月の月例経済報告で、国内景気は「緩やかに回復」との判断を維持しましたが、多国間での貿易問題による世界経済への影響や、相次ぐ自然災害に留意する必要があると認めています。
日銀短観、業況判断DIとは・・
業況判断DIは、景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を差し引いた数値で、全国の上場・中小企業動向を的確に把握し、金融政策に生かすことを目的に調査しています。
短観は、企業の売上高や雇用者数、金融機関からの借入金などの「計数調査」と、生産や設備投資、雇用などの「判断調査」によって構成されています。
主要企業の業況判断DIは、景気判断の指標として株式市場などにも大きく影響が出る指数です。
相次ぐ災害や米国のイラン原油輸出規制が大きく影響
9月のマイナス分は、相次ぐ豪雨や台風に北海道地震など自然災害による影響や、輸入に頼る原油が有力産油国のイランの供給が、米国の経済制裁で落ち込む懸念に、指標油種は4年ぶりの高値が影響しています。
さらに、米中貿易戦争の攻防による世界経済への影響や、日米2国間でのFTA(Free Trade Agreement:自由貿易協定)を米トランプ大統領は迫ってきており、自動車などの輸出、農産物の輸入への関税などの駆け引きが影響しています。
9月の日米首脳会談では、新たにTAG(Trade Agreement on Goods:物品貿易協定)という関税を両国で引き下げる交渉でとりあえず合意しました。
この先の見通しも変わらず
3ケ月後の先行きについては、大企業の製造業はプラス19と横ばいの見通しとなっており、多国間での貿易交渉がどのような動向となるかによって影響も出ると考えられます。
非製造業では、自然災害は復興へのニーズがあるものの一時的なため、回復が想定されています。
米国発の貿易摩擦や米国ファースト、中国の景気減速の影響など、日本は製造業を中心に設備投資ニーズの低下に繋がるリスクもあり、グローバル的な経済動向が今後も注視されます。
●関連記事:「大企業製造業、景況判断が2期連続悪化!「日銀短観」原材料、人件費上昇が要因」[2018.7.4配信]
[2018.10.5]
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