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TPP参入、延ばせば不利な条件に/野村HDも農業参入、産業界「急ぎ決断」を促す

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2ケ月かかって米国と協議
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日米両政府は1月8日、TPP(環太平洋経済連携協定)の2国間協議を13、14日に米国ワシントンで行うと発表がありました。TPPは、参加9ケ国が今年11月の妥結を目標に各国交渉に入っています。政府は、TPP交渉の中心国である米国との協議をきっかけに、チリ、ペルーとの協議も検討しているようで、実現すれば一挙に主要6ケ国との協議が一巡します。
菅首相は、昨年11月13日、TPPへの参加に向けた協議開始を表明してから約2ケ月、農業関係者からの猛反対を受けました。調整は必要であるものの、中心となる米国との事務協議開催は、あまり、情熱もスピード感も感じられません。日本はTPPへの参加を先送りし、12月のニュージーランドでの第4回交渉にオブザーバーとしても参加を認めてもらえませんでした。この間にも参加各国では自国に優位な交渉が進められています。TPPへの参加は、決断が遅れれば遅れるほど不利になります。TPP参加で農業改革、一体で同時進行で早期の決断、参加行動してもらいたいものです。

前原外相の米でのコメント:TPP参加、大胆な農業改革
前原外務相は、1月7日、すでに訪米しているワシントンの米戦略国際問題研究所で講演。TPP参加について「FTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)実現に向けた重要な第一歩」と訴えました。TPP交渉参加へ積極的な姿勢でした。日本の農業衰退に「大胆な農業改革をやると同時に、日本の強みを生かしていくためのより自由な貿易体制を目指し、日本再生の起爆剤とすることが必要だ」と指摘しました。TPP参加に慎重な姿勢を示す経済産業相の代役でTPP参加を訴えてくれたようです。

決断に6ケ月も待つなんてあり得ない
菅首相は、4日の年頭会見でTPP参加への是非を6月をめどに判断と示し、5日の初閣議でも「平成の開国」に取り組むよう指示しました。政府内や関連産業などとの調整はあるものの、早期決断がなければ痛みも大きくなるでしょう。経済3団体が共催する新年祝賀会でローソン・新浪社長が「決断と実行、これです。TPP(参加を)6か月も待つなんて、ビジネスじゃあり得ないですよ。早く決断をし、実行してもらいたい」と苦情を吐露。これが民間企業の本音の声です。

自然災害に負けない農業技術
昨年の暮れから正月にかけて日本は、大寒波で大雪、異常気象で新年を迎えました。 テレビの報道ではビニールハウスが雪で押しつぶされた光景が映し出され、農業従事者へのインタビューでは農産物が被害を受け破棄処分と報じられます。日本には四季があり昨年夏のような猛暑もあれば台風、ゲリラ豪雨、地震など自然災害が多い国です。こうした自然災害があるたびに農業での被害が報じられるの数十年前からのことです。その度に農産物は価格変動を起こし、需要と供給のバランスを失い消費者を困らせるのです。日本の農産物は、クオリティの高いバイオテクノロジーなどの技術で、ほかの国にも負けない「安全、安心、おいしい農産物」を生産することができ、アジア新興国を初め海外から求められています。強い農業、攻めの農業へ海外輸出など政府の支援も報道でよく見かけるようになりました。次は頻繁に起こる自然災害から高品質の農産物を守るビニールハウスなど、農業に限って生産技術向上が課題です。

野村HD:都市部工場跡地で新しい農業を模索
証券最大手の野村ホールディングス(HD)は昨年10月に新会社を設立。地域経済を活性化し、金融サービスの顧客拡大を目的に農業ビジネスに参入しました。外食チェーンや大手スーパーなどが農業へ参入することはありましたが大手金融機関が参入するのは始めてのようです。その後、野村HDは1月3日、都市部近郊の工場跡地を有効利用し、生鮮野菜を生産する計画があると報道がありました。来年平成24年には地元企業と連携し、海外輸出も検討すると報じています。企業の農業参入は、中国などアジア新興国の食料需要の膨張から、今後も参入する企業が多くなるでしょう。TPP参加は異業種からの転業ビジネスチャンスでもあります。
 
国内の声と将来に対する投資:本当の事業仕分けは?
肝心な農林水産省の内部ではTPP全てが、これから検討、これからの対策、の繰り返しです。TPP参加は日本の農産物が輸出産業、輸出関連産業になる100年に一度のチャンスです。既得権益確保も大切ですが、近い将来を見据えた判断で、助成や補助の行き先を新規農業ベンチャーにも割り当てて欲しいものです。平成23年は、補助金や生産調整で体力の弱くなった日本の農業が、一転して強く、攻める農業に変わる元年です。TPP参加の早期決断で薄日の差してきそうな国内産業に明るい光を浴びせて欲しいものです。

[2011.1.11]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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