貿易収支、3ケ月ぶりに赤字も輸出は堅調!課題は米トランプ大統領発言
貿易赤字、高騰した原油・航空機・医薬品輸入が拡大
財務省が6月18日公表した5月の貿易統計速報によると、貿易収支は5,783億円の赤字となりました。
自動車関連や液晶製造装置など輸出は伸びた一方、価格が上昇中の原油や航空機の輸入も拡大しており、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は3ケ月ぶりに赤字となりました。
輸入額は、前年同月から14.0%増加し6兆9,016億円と2ケ月連続で増加しており、5月単月としては過去最高となりました。
UAE(United Arab Emirates:アラブ首長国連邦)から高騰した原油や、欧州からの航空機、医薬品などが輸入拡大の要因となりました。
輸入額を国・地域別で見ると、米国、EU(European Union:欧州連合)、アジア、中国がそれぞれ5月として最高額を記録しました。
自動車部品、半導体製造装置の輸出は堅調
一方、輸出額は前年同月から8.1%増加しており6兆3,233億円と18ケ月連続で増加しており、自動車関連や液晶製造装置、半導体製造装置・集積回路などが牽引役となりました。
貿易収支では赤字となっていますが、輸出に関しては堅調を維持しており、輸出額は事前の市場予想7.5%増を上回る結果となりました。
主要な輸出先である米国や中国など堅調だったことに加え、中東向けの輸出額が3年2ケ月ぶりに伸びとなるなど復調しました。特に中東向けの自動車の輸出は、前年同月から34.0%増と、大幅に伸ばしました。中東の原油価格の高騰で購買意欲も持ち直しつつあります。
輸出拡大、やはり信頼ある「Made in JAPAN」
主要な輸出先も堅調であり、米国向けは自動車部品や電池などが伸びており、前年同月比5.8%増と16ケ月連続で増加しており、トランプ大統領がケチをつけるのもわかるほど好調です。米国民は「Made in JAPAN」を求めていることの証です。
中国向けも同13.9%増加しており、半導体製造装置や半導体などの電子部品などスマートフォンの販売不振で一時伸びは鈍化したものの、IoT(Internet of Things:モノのインターンネット)の広がりによって半導体ニーズがスマートフォン以外で拡大しています。
各国・地域向けに幅広い品目で輸出は伸びており、当面は輸出は堅調に推移する見方が広がっています。
米トランプ大統領「アメリカ・ファースト」だ
ただ、懸念材料は、米トランプ大統領の気まぐれ政策であり、指摘されるとコロコロと考えを反転させる発言です。
6月15日には、中国の知的財産権侵害への制裁措置として、さらなる追加関税を課すと発表するなど、日本にとっても大影響を受けることにもなります。
日本においても同様で、鉄鋼やアルミにとどまらず、自動車にまで関税引き上げを訴えてきており、「アメリカ・ファースト」のためなら自分の思う通りにする強引さも曝け出しています。
仮に、中国から米国への輸出が減れば、輸出製品を作る中国工場の設備投資が縮小しかねず、製造装置やロボットなどを中国に輸出する日本も大きなダメージとなります。この先のトランプ大統領の経済政策が注視されます。
●関連記事:「輸出額10年ぶりの高水準!日米貿易は「TPP」か「FTA」?」[2018.4.23配信]
[2018.6.22]
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