多重債務者、過去最少7%まで縮小!自己破産申立は増加へ?
多重債務者、116万から8万人へ
複数の債務を抱える多重債務者が改正貸金業法の成立以降、過去最少数となったことが6月8日、金融庁などのまとめで判明。多重債務者問題に取り組む関係省庁による懇談会で報告されました。
金融庁がまとめた統計によると、消費者金融などから5件以上借り入れのある多重債務者は、今年3月末時点で8万6,000人と、前年度から1,000人減少。平成18年度の116万9,000人から7.3%まで縮小し、改正貸金業法の効果が出たと言えます。
銀行カードローン債務者は、統計に入らず
懇談会で、日本弁護士会連合会は、改正貸金業法によって自己破産申立件数は減少傾向にありましたが、平成28年に増加に転じたと報告。銀行カードローン残高の増加と関連性を指摘し、銀行カードローン債務者数を統計に反映するよう求めました。
消費者金融は、改正貸金業法によって借入額が年収の3分の1までと規制がかかり、これまでのように過剰に借り入れることができなくなりました。
一方、銀行カードローンは、改正貸金業法に適用されず当初より100万、300万と規制はなく借り入れることが可能でした。消費者金融利用者は減少、銀行カードローンが増加となれば意味はありません。
減少どころか増加へ、銀行カードローン残高
全国銀行協会が6月12日発表した加盟116行の今年4月末のカードローン残高は4兆4,118億円と前年同月比から2.3%増加しました。
同協会では昨年4月より公表を始めましたが、前年比の増減率を公表するのは初めてで、ここ数年、銀行カードローンの過剰融資が社会問題化しつつ、厳しい審査や、過剰な広告を控えていたはずですが、現実には増加しており、さらなる対策が必要です。
3メガバンクや一部の地銀では年収に応じて融資額を規制していますが、あくまで自主ルールで貸金業法などの法はありません。
地銀協会、日銀金融政策を批判
特に地銀や第二地銀などでは、日銀マイナス金利政策により低金利による利ざやが縮小。さらに人口減少など将来的な資金ニーズの減少と課題を抱えます。
全国地方銀行協会は5月16日、会見で「慢性ストレス」との表現を使い日銀の金融政策を批判し、地銀の苦境を訴えました。
地銀にとって、低金利の中、利益を出すのは容易でなく、利幅の大きいカードローンなどの各行揃って参入したものの、過剰融資が社会問題化し縮小するしかないのが実態。金融庁は昨年秋以降、経営課題のある地銀に立ち入り調査をしているものの、抜本的な対策がいのが現状です。
●関連記事:「「増収」の貸金業者はたった2割!銀行カードローン競合が明確に」[2018.3.30配信]
[2018.6.15]
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