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超高齢化社会を迎えなぜ?高齢者福祉事業者の倒産2年連続過去最多!

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高齢者はこれからも増加が、福祉事業者の倒産がピークに
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日本は高齢者社会が深刻となっている中、高齢者向けサービスのニーズは拡大し市場は堅調と考えられる「福祉事業界」ですが、今まさにこの業界が倒産のピークを迎えています。
東京商工リサーチが4月9日発表した平成29年度(平成29年4月〜30年3月)の「老人福祉・介護事業」の倒産件数は115件と、前年に続き2年連続で過去最多となりました。

倒産に至った事業者を見ると、従業員が5人未満の事業者が全体の60.8%、設立5年以内が同39.1%と、小規模事業者で設立間もない事業者が倒産件数を押し上げた結果となりました。

リスケジュールで企業の負担減、倒産減少!
日本企業の倒産件数は、平成20年度のリーマン・ショックをピークに21年度以降は、中小企業金融円滑化法のリスケジュール(条件変更)の施行で、事業者の負担が軽減され減少傾向。平成29年度は、9年ぶりに企業倒産が前年度を上回りましたが、増加率は1.6%増にとどまっています。
このような状況の中、「老人福祉・介護事業」では3年連続で倒産が増加しました。
「老人福祉・介護事業」は、平成12年4月の介護保険法施行を機に、「老人福祉・介護事業」へ新規参入する事業者や起業者が相次ぎ、平成13年に2万782あった「訪問介護・通所介護」や「施設・事業所」の数は平成18年には約2倍の4万357まで増加。ただ、そのほとんどは専門的な知識やノウハウのない小規模事業者で、資金調達も十分ではない企業でした。

高齢者福祉事業者、所得低く、労働厳しく
ここ数年は、人出不足が深刻化しており、特に「老人福祉・介護事業」での所得は高くなく、労働量も厳しいことから離職率も高く、事業を断念する事業者も相次いでいました。
倒産増加の要因としては、「同業他社との競争激化」がトップで、「平成27年度の介護報酬の実質マイナス改定」、「離職防止のための人件費上昇」などが次いでいます。
特に「老人福祉・介護事業」の人手不足は、「景気が悪い時に人材採用は順調なものの、好況に転ずると他業種へ離職」が一般的に見られ、景気の逆行する傾向です。

高齢者向け社会保障費、財政の3分の1に
2022年からは、団塊の世代が75歳を迎え、超高齢化社会の日本で介護や医療、年金など高齢者向けの社会保障に国の財政の約3分の1が占められ、この費用をどう抑えるかが深刻な問題です。
若年層にはこれまで社会保障費を年々引き上げ、負担の限界に達しており、あとは高齢者への負担を少しでも責任を持ってもらうしかないのでしょう。
財務省を中心に現在は、70〜74歳の医療での窓口負担を段階的に1割から2割に引き上げており、年金は68歳からとさらに3年引き上げる案も出るなど、今の財務省の発言には誰が耳を傾けるかが注目されます。


[2018.4.27]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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