政策金融機関・商工中金の不正、不祥事!「解体的見直し」を検討!
今年をめどに商工中金、改革
国の融資制度を利用し、不正融資を繰り返した株式会社商工組合中央金庫(商工中金)について、所管省庁である金融庁や財務省、経済産業省は中小企業庁に「商工中金の在り方検討会」を設置し、年内をめどに対応を検討するとしています。経済産業省では商工中金を「解体的見直し」を訴えますがその通りとなるのか注目されます。
商工中金は、昭和11年に設立された中小企業向けの政策金融機関であり、商工組合中央金庫法によって融資を行なっています。商工中金は小泉政権化で民営化が決まり株式会社となりましたが、その後、完全民営化は先送りされたままです。
商工中金は、平成28年10月に危機対応業務を巡り不正が発覚。その後の調査で「組織ぐるみでの不正」であったことが判明。商工中金の抜本的な改革が想定されていますが、具体的な実態はまだ検討段階です。
地銀協会「民業圧迫、避けるべき」
全国地方銀行協会では、商工中金の危機対応融資の不正について「本来の民業補完を徹底してほしい」と民業圧迫を避けるよう言及。完全民営化については「競争激化を招きかねない」と強調しました。
商工中金は本来、リーマン・ショックなどの金融危機や、東日本大震災などの自然災害によって経営・財務状況に支障が出た中小企業に対し、低利で融資を行う危機対応業務を行うのが業務であり、不正が判明した対象は、優良な中小企業に財務関連資料などを改竄して無理やり融資を行なった企業です。
危機対応業務を装い実績を積み上げるためであり、商工中金100支店中、97店舗が不正融資を行いました。まさにノルマ達成のためとしか思えません。
危機対応業務は民間金融機関でも可能?
危機対応業務での融資は、民間の金融機関でも指定を受ければ業務可能ですが、体制整備の手間や手続きの負担が大きいためこれまで一例もありません。この「危機」という意味については何が「危機」となるのかは主務大臣の認定によるものであり、逆に見れば「やりたい放題」とも取られます。
商工中金は将来的には完全民営化が予定されてますが、この「危機」を認定するたびに完全民営化は先延ばしとなり、不正融資は完全民営化を消すための行為と訴える有識者もいるほどです。こうしたことを見ると、商工中金は完全民営化以前の中小企業庁との馴れ合いで業務を進めてきたとも思われ「体質の問題」とも言えそうです。
危機対応業務以外でも不祥事、相次ぎ発覚
危機対応業務の不正に関しての調査では、危機対応業務以外での不祥事も発覚。「中小企業月次景況観測」の調査では、実際に企業へヒアリングは行わず自作。「ものづくり補助金」では商工中金が発行する確認書を行政評価のために自作するなど不祥事が相次ぎ判明しています。
この調査はあくまでも危機対応業務に関しての調査のためであり、今後は調査の幅を広げれば氷山の一角となることも考えられます。
政府系金融機関の融資は市場機能や民間金融機関を活用した間接的な手法であるべきで、最適な資金供給手法を選択しなければなりません。今回の商工中金の不正は、政策金融そのもののあり方を検討し、日本の経済に望ましい方向に改めるキッカケとすべきでしょう。その観点から、時間をかけ議論検討し新たな金融システムが望まれます。
●関連記事:「政府系金融機関、政投銀と商工中金の民営化を先送り!民間金融機関が対応できるまで災害,経済危機に公的支援」[2015.2.23配信]
[2017.12.16]
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