経済の現状を把握する中小企業景況調査、中小・小規模企業は緩やかに改善!
調査員が直接訪問、聞き取り調査
経済産業省中小企業庁は12月13日、中小企業景況調査(平成29年10月〜12月期)の結果を公表しました。
調査は、中小企業を支援するため設立された経済産業省傘下の独立行政法人中小企業基盤整備機構が実施。他の機関が実施する中小企業関連の調査と比べ、サンプル数が最も多く、全国の商工会や商工会議所の調査員が、対象企業を直接訪問・面接し、聞き取り調査を行なっているため、回収率も高く経済の実態に近い答えを聞き出すことができる調査です。
産業や業種別、規模、地域別など細かな分析が可能なことが調査の特徴となっています。調査対象の約8割が小規模企業が占めており、小規模企業中心の調査であることも大きな特徴となっています。
2期ぶりに景況判断指数が上昇
中小企業の業況は、一部の業種に横ばいが見られますが基調としては全体的に緩やかに改善しています。今年10月〜12月の全産業の景況判断DI(指数)は、前期から0.4ポイント増加しマイナス14.4ポイントと2期ぶりに上昇しました。
一方、全産業の資金繰りDIは、マイナス11.4ポイントと前期から0.7ポイント減少し4期ぶりに低下。長期資金借入難易度DIでは、マイナス2.1ポイントと前期から0.3ポイント増え、3期連続で上昇しています。短期資金借入難易度DIは、マイナス0.3ポイントと横ばいでした。
製造業、3業種だけ低下
製造業の景況判断DIは、マイナス7.9ポイントと前期から3.3ポイント改善。業種別では、鉄鋼・非鉄金属、その他輸送用機械器具や金属製品、電気・情報通信機械器具・電子部品、繊維工業、パルプ・紙・紙加工品、家具・装備品、食料品、印刷などの業種が上昇。窯業・土石製品や化学、木材・木製品が低下しました。
非製造業の景況判断DIでは、マイナス16.6ポイントと前期から0.7ポイント減少し2期連続して低下しました。
産業別では、東京五輪関連施設や復興事業などで建設業が上昇しており、卸売・サービス・小売業が低下しました。
課題は従業員確保、人手不足で注文断ることも
今回の調査で中小企業・小規模企業の業況は改善傾向にありますが、現場では従業員確保が厳しく、退職者の続出によって受注するものの、断るケースが多く聞かれました。正社員化が増加傾向にありながら、現場では異常な人材不足に陥った状況です。
製造業では従業員の確保に加え、生産設備の老朽化や製品ニーズへの対応、原材料価格の上昇など課題となり、非製造業では、ニーズの停滞、大型店進出での価格競争、仕入れ単価の上昇などが問題となっています。
安倍政権は、「一億総活躍社会」の実現に向け、少子化、人口減少をイノベーションのチャンスと「人材への投資による生産性向上」に向け中長期的な課題を克服するとしています。
●関連記事:「「QUICK短観」円安、合理化効果で「自動車」「電機」など製造業が牽引し景況判断指数はプラス」{2015.2.28配信]
[2017.12.15]
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