不動産大手、供給過剰のオフィスビルからホテル開発へ!
来年から3年間、オフィスビル新築ラッシュ
日本の人口は減少し、首都圏に集中するなか、東京都心では平成30年から33年にかけてオフィスビルの新築ラッシュが続くため、オフィス市場に空室など先行き懸念が浮上しています。
不動産仲介の三鬼商事が今年11月9日発表した東京都心5区(C伊代田、中央、港、新宿、渋谷)のオフィス空室率は3.02%と9年7ケ月ぶりの低水準でしたが、来年以降の新築ラッシュで空室率は上昇し、賃料が下落する可能性も出てきました。
就労人口の減少という構造的な問題もあり、東京都心のオフィスビルの供給過剰が鮮明になりそうです。
新築オフィスビル埋まっても、移転元は・・
オフィスビルの空室率は、5%を割れば賃料が上がるとされており、現状は良好な推移と言えます。
ただ、来年からのオフィスビル新築ラッシュで、仮に新たなビルが埋まっても、移転に伴って二次的空室率が生じる可能性もあります。IT関連企業などニーズは見られますが、3メガバンクが今後数年でリストラを発表するなど金融機関関連にこれまでのようなニーズはありません。全体的にも、ニーズの拡大は見込まれません。
東京都の予測では、都内の就業者数は平成22年には約817万人でしたが、47年には約737万人と1割弱減少するとしています。
日生「丸の内ガーデンタワー」三井物産移転でテナンとなしに
日本生命は、皇居の目の前の丸の内ガーデンタワーを保有し、三井物産がテナントで入居していますが、三井物産は平成32年に自社ビル竣工で移転。丸の内ガーデンタワーの入居者はいなくなり、さらに日本生命は浜松町にもオフィスビルを開発しており、テナント誘致しています。
東京都心では、築年数の浅い高級オフィスビルで、すでに空室が目立ち始めています。平成19年開業した六本木ミッドタウンでは、ヤフーが5,500人の社員を連れ紀尾井町ガーデンテラスへ。ユニクロのファーストリテイリングは1,000人の社員を有明の新設物流センターへ移転します。これからのテナント探しが懸念されます。
平成30年のオフィスビル供給、現在の8割増へ、32年にはさらに177平米が供給
不動産大手は、一斉にオフィスビルからホテル開発に軸足を移しています。これまでの主力であったオフィスビルで供給過剰懸念が強まり、訪日外国人客の増加が見込めるホテルに経営資源を向けます。
森トラストによると、東京の大型オフィスビルの供給は、平成30年に139万平方メートルと今年から約8割も増え、32年には177万平方メートルが新たに供給されるとしています。
国土交通省観光庁によると、平成28年の東京のホテルの客室稼働率は83%と80%を超えればほぼ満室。東京オリンピック・パラリンピックが開催される平成32年には、訪日外国人客6,000万人を目ざしているため、期待感が高まります。
●関連記事:「「観光白書」訪日外客数増加と東京五輪ニーズで「ホテルが足りない!」外国人の宿泊者は3年で2倍超え」[2015.6.12配信]
[2017.11.18]
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