自治体の大規模複合施設、リースバック契約で資金調達!借金返済やJR複線化、駅のバリアフリー化に活用
大規模文化複合施設を売却、リースバック契約で変わらず営業
京都府城陽市は10月19日、平成33年度に新名神高速道路の大津・城陽間が全線開通することで、市内の大規模プロジェクトが進んでおり、一時的に財政ニーズが増加するため、同市岡田の大規模文化複合施設「文化パルク城陽」を80億円以上でリース会社などに売却。売却で得られた資金は借入額分を一括償還した上で、市債を発行できない事業などに活用します。
「文化パルク城陽」は売却後もリース会社と「リースバッック契約」し、貸借してこれまでと変わらずに使い続けます。自治体でのリースバック契約は珍しく京都では初の試みとなります。
売却資金で建設借入額の残りを償還
文化パルク城陽は、近鉄京都線寺田駅から徒歩約10分と好位置。コンサートなどが行える1,300人収容のプラムホールや大会議場、プラネタリウム、図書館、児童用スペース、宴会も可能なレストランなどが入っています。
文化パルク城陽は、総事業費178億円で平成7年に設立。地上5階地下1階、広さは約2万平方メートルで、建設費に当てられた市債13億円が残っています。この市債を一括償還し、残りをJR奈良線複線化や近鉄寺田駅のバリアフリー化などに27億円、土地購入に23億円を当てる予定です。
契約は27年、賃料支払い終了後は市に返還
リースバック契約では、購入価格などの条件を事業者が提案するプロポーザル(企画・提案)方式で売却先を選定し、12月の市議会に関連議案を提出する方針。想定する耐用年数は27年間で、事業者へは賃料として4億〜4.5億円を支払います。
同市は、リースバック契約の条件として、運営管理や施設使用料、職員の待遇が変わらないことを条件に入れ、賃料の支払いが済む27年後に建物は市に返却するというバイバック契約としました。
国土交通省では昨年3月に、地方公共団体などが保有するPRE(Public Real Estate:公的不動産)を民間活用できるよう地方自治体職員向けに手引書を公表。「文化パルク城陽」はまさしく手本となった事例です。
▼国土交通省:公的不動産(PRE)の民間活用の手引き(PDF)
国交相、PREを民間で活用促進、手引書作成
国土交通省の手引書では、PREのリースバック契約のほかに貸付や売却など解説されており、手法の検討から選定、契約、運用まで細かくまとめられています。
リースバック契約は、資金の調達に住宅などの不動産に活用されますが、PREや商業施設、航空会社の旅客機にも使われています。
金融庁によると、住居ローンに関して中小企業金融円滑化法によるリスケジュール(条件変更)する申請件数は、平成29年3月末時点で49万3,518件に上っており現在も増加中です。負担なく売却やリースバックなど活用することも1つの選択肢です。
●関連記事:「中小向けリスケ3年で369万件超えに対策はファンド創設で救済!施策のない住宅ローンはリースバックで賃貸化」[2012.12.7配信]
[2017.10.25]
トラックバック(0)
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 自治体の大規模複合施設、リースバック契約で資金調達!借金返済やJR複線化、駅のバリアフリー化に活用
このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.h-yagi.jp/mt5/mt-tb.cgi/3077
コメントする