違法民泊:業法違反8倍に増加/空き家利用がビジネスチャンス
旅館業法違反の疑い1万件超え
厚生労働省は10月10日、平成28年度(平成28年4月〜29年3月)に旅館業法違反の疑いがあると調査・指導した件数が全国で10,849件に上ったことを発表しました。調査対象は、都道府県の保健所を設置する市や特別区143ケ所で、前年度の1,413件から約8倍近くに増加したことが判明しました。
同省では、今回の調査で1万件以上の旅館業法違反を把握しましたが、ネット上で民泊仲介サイトに登録される件数を考慮すると、実態はさらに多い可能性があるとしています。
個人同士の部屋の貸し借り仲介サービス、急速に普及
民泊とは、かつて農村や漁村の民家に宿泊することを指していましたが、ここ数年、Airbnb(エアー・ビー・アンドビー)などネット上で個人同士の部屋の貸し借りを仲介するサービスが急速に普及したことにより、民泊の意味自体も大きく変わってきています。
日本では、民泊という言葉には法律上、定義はなく一般的には、自宅の一部や全部、空き家や別荘などを他人に有料で貸し出すことを意味しています。
宿泊施設の規模も個人宅から不動産企業がマンション1棟などを借り入れ宿泊させるなど様々で、海外ではバケーションレンタルやホームシェアリングと言う表現が使われています。
成長産業「民泊」観光立国目指し法整備
日本は、民泊が新たな成長産業として不動産業界や旅行業界などから注目を集めており、投資家も民泊に関わるサービスを提供する企業に視線を向けています。
安倍政権も観光立国を掲げており、民泊市場の健全な拡大に法規制を整備し始め、長期的な観光政策の1つとして推進しています。来年6月には、住宅宿泊事業法とともに、旅館業法の無許可営業に対する罰則を強化する旅館業法改正も同時に施行される予定です。
急増する訪日外国人客に対し宿泊施設が不足
民泊は、あらゆる業界から注目されており、訪日外国人観光客の急増に対し宿泊施設が不足していることが大きな要因となっています。日本政府観光局によると、今年8月の訪日外国人観光客は、247万8,000人と8月としては過去最高の訪日となりました。訪日外国人観光客は、アジア圏を中心に年々増加しており、訪日したくても宿泊施設がないと言うのが実情です。
Airbnbによると、昨年、日本を訪れた外国人は約2,400万人で、このうち370万人がAirbnb経由で民泊を利用したと言います。ニーズがありながら供給できないのが実情であり、今後は、法整備のほか社会問題にもなっている空き家を利用した民泊など新たなビシネスが期待されます。
●関連記事:「米エアビーアンドビー:民泊仲介の会社が日本の高級旅館・ホテルの予約サービス開始」[2015.5.25配信]
[2017.10.16]
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