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企業倒産は減少傾向、「老人福祉・介護事業」だけは介護員離職相次ぎ倒産増、過去最大!

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小規模、異業種参入、設立間もない企業が倒産
東京商工リサーチが今年1月に発表した平成28年の「老人福祉・介護事業」の倒産件数は、平成12年の調査以来、これまで最多だった平成27年の76件の1.4倍の108件と過去最高となりました。
倒産企業の規模では、従業員が5人未満が全体の73.1%と異常に高く、設立5年以内の企業が50.0%と半数。小規模で設立間もない企業が倒産件数を押し上げているのが分かります。
事業計画が甘く安易な企業だけでなく、本業が不振でそれをカバーするために異業種から参入した企業などの倒産が目立ちます。
日本は少子、超高齢化社会と先進7ケ国の中でも最も高く、待機児童問題や賃金アップ、破綻状態の社会保障費など早急な具体的施策が必要なことは連日メディアでも報道されています。

すでに日本は4人に1人は高齢者、8年後には3人に1人
急速に進む超高齢化社会は、既に日本が経験していることであり、この問題に関して将来の高齢者の労働力や社会保障など金銭面での負担、生産年齢人口の拡大など課題は山積みです。
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平成28年時点で日本の高齢化率は26.86%。日本人口の4人に1人は65歳以上の高齢者と、すでに超高齢化社会となっています。厚生労働省の施設機関である国立社会保障・人口問題研究所の分析によると、日本の高齢化率は、今後も上昇する傾向であり、「超高齢化社会」に既に含まれている日本は2025年に高齢化率は約30%となり、2060年には約40%に上ると予測しています。
「老人福祉・介護事業」産業は、まさに成長産業でありアベノミクスの「働き方改革」の手本となるべき課題です。

介護報酬法案、マイナス改定で離職が続々
現在の日本の全産業における課題として人手不足が挙げられますが、建設業や飲食・小売業など深刻な問題となっています。なかでも「老人福祉・介護事業」における人材不足は超高齢化社会の日本にとっては最大の課題となります。
「老人福祉・介護事業」の倒産要因としては、同業他社との競合や、介護報酬の実質マイナス改定での収益減が挙げられますが、最も多い要因として介護員不足で離職防止に人件費上昇が深刻となっています。企業が収益を減らしてでも介護員に不足分を供給しているのが実態です。
介護業界では、景気が悪い時には介護員の採用は順調ですが、景気回復になるとより収入の高い他業種へ流出するという景気と逆方向の流れがあります。特に小規模事業者では資金的制約もあり深刻さは増すばかりです。

大企業、独自の対処で離職防止
介護員の離職防止に企業は様々な対応を整え始めています。第一生命保険は、介護休業について上限730日を回数無制限とし、花王やパナソニックも有給で休める仕組みを設けました。
日本の介護員の離職者は、すでに年間10万人を超え離職予備軍は100万人と見込まれています。重要な戦力である介護員の離職防止が課題となっています。
育児・介護休業法は、労働者に介護休暇を取る権利を与え、企業はこれを拒めないと定められていますが、極端に言えば大企業向けの法案であり、中小企業や小規模事業者にこの法律が通じるかはお分かりだと思います。倒産する「老人福祉・介護事業」企業は小規模、設立間もない小資本の企業であることを念頭に新たな法案が求められます。


[2017.10.1]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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