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銀行コミットメントライン(融資枠契約)が急増!大企業から中堅・中小企業へも拡大

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総額30兆円、中堅・中小の成長企業でも契約
銀行が事前に設定した金額内で、いつでも融資してもらうことができるコミットメントライン(融資枠)契約を締結する企業が急増しています。コミットメントライン契約する企業は、今年7月現在、11,580社に上り、総額は約30兆円に達しました。
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契約急増の要因として、コミットメントラインは、これまで一部の大企業に限られていましたが、中堅・中小企業でも業績が回復し成長する企業が増え、裾野が広がったと思われます。
コミットメントラインは、企業にとって資金繰りなど急な資金ニーズに役立つ仕組みである一方、銀行にとってもマイナス金利政策時代に手数料が収益となるため積極的に企業へ営業攻勢をかけています。

初回審査を受けたらその後は審査なく融資可能
コミットメントラインは、契約時に審査を受け、その後は契約した上限額までは何回でもほぼ審査もなく融資が受けられます。これまでコミットメントラインは、大企業のみのイメージでしたが、契約額を契約数企業数で割ると、単価は前年から減少しており、少額のコミットメントライン契約が増えていることがわかります。
東日本大震災の復興や東京オリンピック・パラリンピックに向け、各々の地域で復旧・開発が進んでおり、特にゼネコンの下請けとなる中堅・中小建設業では、利便性の良い仕組みと捉えています。

売上時期が特定、支払いサイトが長い建設業には魅力
一般に中堅・中小建設業では、売上が4月〜6月に集中したり、支払いサイトが締め後、180日後払いなど長いのが当たり前であり、季節により資金繰りに振れがあるため、コミットメントラインは毎回審査を受けることなく短期でも融資が受けられることが魅力となっています。
また、契約する企業のなかには、M&A(企業の合併・買収)のチャンスがあった時に、通常の融資では時間がかかりすぎ、チャンスを逃すことなりますが、融資枠があればすぐに決断、出資できると機動性を評価する声も多くあります。

企業、銀行にとってメリット・デメリットあり
コミットメントラインは、企業にとって機動性があり、自由に資金調達ができる魅力的な仕組みであると言えますが、融資枠に対しての手数料も融資額が高くなるに比例して高額になってきます。企業にとっては大変利便性の良い資金調達法でありますが、銀行にとっても低金利政策が続くなか、手数料を収益にできるという、各々のメリット・デメリットがあることを注意しなくてはなりません。
ここ数年で資金調達は、インターネットの普及でクラウドファンディングやソーシャルレンディングなど、新たな資金調達の手法が選択肢として認められてきました。企業の目的や事情など十分に考慮して最適な資金調達法を選択することが重要となります。


[2017.9.21]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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