都内オフィスビル売買に異変!個人投資家対象に、1棟より1フロアが有利
オフィスビルが個人投資家に売却される
日銀の金融緩和政策のもとで低金利が続くなか、行き場をなくした資金が、不動産市場に流入しています。驚くのは、その先。大手不動産会社が活発に売買する都内のオフィスビルが、個人投資家の投資対象として売られているのです。フロアあたりの床面積が狭いペンシルビル1棟を数億円で所有するより、ビルの1フロアを同等の金額で所有する方が有利という発想です。
1フロア単位で個人に区分所有権を売却
不動産関連事業を手がけるボルテックス((株)ボルテックス:東京都千代田区 宮沢文彦社長)は、昨年11月、渋谷橋交差点の角地に建つビル「ポーラ恵比寿ビル」を約95億円で落札しました。現在の名称は「VORT恵比寿maxim」。宮沢社長は、1フロア単位で、個人の富裕層に、区分所有権を売却しています。取得価格のおよそ3~20%をかけてバリューアップ工事等を施し、個人投資家には「管理等を差し引いた利回りは2.5%程度」になる新しい投資スタイルです。相続時の資産評価額を大幅に圧縮できるため、個人富裕層は飛びつきました。
取得から1年以内に転売するスタイル
ヒューリック(ヒューリック(株):東京都中央区 吉留学社長)も、都心のオフィスビルを盛んに取得しています。主戦場は都心5区を中心とした地域で、取得から1年以内という短期間の転売がスタイル。サンフロンティア不動産(サンフロンティア不動産(株):東京都千代田区 堀口智顕社長)も似た手法で、平成29(2017)年3月期、合計693億円を仕入れました。
賃料格差を避けるために目利きが必要
ビルを投資物件と考えるなら、売却という出口が必要です。ただし、オフィスビルの資産価値は、不動産価格や賃料の動向に左右される。ビルの個人への転売は、今後は一般化するのでしょうが、丸の内、八重洲、大手町、虎ノ門などで地域間の賃料格差が開く可能性が高く、目利き力が必要でしょう。
●関連記事:「マイナス金利:不動産投資の形①個人投資家、競売市場参入前年比3倍増」[2016.09.30配信]
[2017.7.27]
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