不動産開発のいま①:寺社の土地は最後に残った「宝」の土地。生き残り策の手段のひとつ
寺社生き残りのための策
由緒ある京都や大阪、東京などのお寺や神社の敷地が、不動産開発されている光景を目にすることが増えました。人口減少や若者の宗教離れ、後継者問題などに苦しむ宗教施設が、敷地の一部をマンションやホテルの開発にあてるのです。地元の檀家や氏子との調整、景観を損なう問題など課題は多いものの、生き残りのため背に腹はかえられない事情もあるのでしょう。
御堂会館は高層ビルに
一例を挙げます。大阪市のメインストリート「御堂筋」の名前の由来にもなった、南御堂(真宗大谷派難波別院)の御堂会館が、平成31(2019)年までに、17階程度の高層ビルに建て替わります。ホテルが入居しますが、並行して、参拝者らがビジネスホテル形式で宿泊できる宿坊事業も行うそうです。デベロッパーからすれば絶好のホテル用地が、開発されることになります。
最後の「宝」の土地
宗教法人が保有する土地の総面積は、約20億平方メートルといわれます。全業種の土地所有の内訳では、宗教法人が全体の2割を占め、卸売・小売業に次いで多い。江戸時代、有力な社寺は幕府公認の広大な寺社領を保有する領主や地主でした。その名残が引き継がれており、神社仏閣の土地は、一等地の開発がほぼ終わったとされる都市部で、最後に残った「宝」の土地なのです。
支える力が弱体化した故の...
宗教界も、構造的問題を抱えています。寺の経営は、葬儀や法事を営み、お布施を収める檀家制度に支えられてきましたが、少子化の影響で、支える力がどんどん弱体化してきました。後継者不足も深刻で、臨済宗妙心寺派宗務本所が作成した報告書では、妙心寺派寺院数3361カ寺のうち3分の1で専任住職が不在という状況です。神社を支える氏子の意識も変わり、厳しい状況が続いています。
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[2017.5.9]
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